「インフルエンザの効果的な予防法」はご存知ですか?【医師監修】

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性の感染症です。毎年特に冬になると流行し、高熱や関節痛、全身倦怠感などの症状が現れます。感染力が強く、学校や職場で集団感染が起こることもあります。特に高齢の方や小さな子ども、基礎疾患のある方は重症化しやすいため、適切な予防対策が重要です。この記事では、インフルエンザの予防法について解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「インフルエンザの効果的な予防法」はご存知ですか?家庭内での対策も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
目次 -INDEX-
インフルエンザの予防法

インフルエンザの予防接種を受けることでどの程度予防できますか?
ワクチン接種の有効性は、ワクチンを接種しなかった方が感染するリスクを基準として、どれだけ減少したか、で判断されます。2015年から2016年のシーズンに行われた研究では、ワクチン接種による6歳未満の有効性は約60%と報告されています。
健康な成人では約70~90%の発症予防効果があるとされています。
ワクチンを接種しても100%予防できるわけではありませんが、感染しても症状が軽くなる効果が期待できます。特に高齢の方では、ワクチン接種により肺炎などの重篤な合併症や死亡のリスクを大幅に減らすことができます。65歳以上の施設入所中の高齢の方では、ワクチン接種により死亡リスクを約80%減少させるという報告もあります。
ワクチンの効果が現れるまでには接種後約2週間かかり、効果は5ヶ月程度持続するとされています。そのため、流行が始まる前の10月から11月頃に接種を受けることが推奨されています。13歳未満の子どもは、十分な免疫を獲得するために2回接種が必要です。
毎年接種が必要な理由は、インフルエンザウイルスが頻繁に変異し、流行する型が年によって異なるためです。世界保健機関(WHO)によってその年に流行するウイルス株が選定され、ワクチンが製造されます。
参照:
『インフルエンザワクチンの効果に関する研究』(厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症研究事業,平成11年度)
『新型インフルエンザワクチン接種事業(平成22年度)に関するQ&A』(厚生労働省)
マスクでインフルエンザを予防できますか?
感染者がマスクを着用する場合は、咳やくしゃみによる飛沫の飛散を防ぐ効果が高く、周囲への感染拡大を防ぐことができます。これを咳エチケットと呼び、感染拡大防止の重要な対策とされています。
一方、健康な方がマスクを着用する場合の予防効果は限定的です。一般的な不織布マスクでは、ウイルスを含む微小な飛沫核を完全に防ぐことはできません。これまでの研究においても、マスクによる発症予防に関しては、明確な統計的優位差はでていません。ただし、現実的に感染者の飛沫を直接浴びるリスクを減らしたり、ウイルスが付着した手で無意識に鼻やお口に触れることを防いだりする効果は期待できます。
マスクを効果的に使用するためには、正しい着用方法が重要です。鼻とお口を完全に覆い、顔とマスクの間に隙間ができないようにします。また、マスクの表面にはウイルスが付着している可能性があるため、着脱時は紐の部分を持ち、ウイルスの付着部に触れないように気をつけて廃棄することが大切です。また、マスクは必ず使い捨てるようにし、再利用はしないようにしましょう。
手洗いやうがいにはインフルエンザを予防する効果がありますか?
効果的な手洗いのためには、流水と石けんで最低15秒以上かけて洗う必要があります。また、アルコール濃度60%以上の手指消毒剤も有効です。アルコールが完全に揮発するまで両手を擦り合わせるようにしましょう。
うがいについては、インフルエンザ予防効果に関する明確な科学的根拠は限られています。インフルエンザウイルスは鼻や喉の粘膜に付着すると、すぐに細胞内に侵入するからです。そのため、その前にウイルスをうがいで排泄させることは困難です。ただし、うがいには喉の乾燥を防ぎ、粘膜の防御機能を保つ効果があるため、間接的な予防効果は期待できるかもしれません。
参照:『事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン』(厚生労働省)
そのほかにもインフルエンザの予防法があれば教えてください
- 十分な睡眠をとる
- バランスのよい食事
- 適度な運動(過度な運動は逆に免疫力を低下させることがある)
- 低温や乾燥を防ぐ空調管理
これらによってどの程度感染を防ぐことができるかという、確固たる統計はありません。しかし、免疫力を低下させず、ウイルスが好む環境を防ぐことは感染対策として有効です。
編集部まとめ

インフルエンザは毎年冬に流行する感染症で、適切な予防対策により感染リスクを下げることができます。特に効果的な予防法は、流行前のワクチン接種です。完全な予防はできませんが、重症化を防ぐ効果が期待できます。日常生活では、手洗いの徹底、マスクの着用、十分な睡眠と栄養、適度な運動など、基本的な健康管理が重要です。インフルエンザは誰もがかかる可能性がある病気ですが、一人ひとりが適切な予防対策を実践することで、自分自身と周囲の人々を守ることができます。
参考文献