「糖尿病」が進行するとどんな症状が現れる?合併症の自覚症状も解説!【医師監修】

糖尿病は、年々増加傾向にある代表的な慢性疾患のひとつです。健康診断などで血糖値が高めと指摘されても、多くの方がはっきりとした症状を自覚しにくく、治療のきっかけを逃してしまうことがあります。その結果、気付いた頃には糖尿病の合併症が進行しているということも少なくありません。
本記事では、進行した糖尿病や合併症の自覚症状を解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「糖尿病の自覚症状」はご存知ですか?進行すると現れる症状も解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
上田 莉子(医師)
進行した糖尿病や合併症の自覚症状

糖尿病が進行するとどのような症状が現れますか?
- 足先や指先のしびれ、感覚の低下
- 物がかすんで見える、視力の低下
- 足のむくみ、尿の泡立ち
これらの症状は、糖尿病合併症が始まっている可能性を示しています。多くの場合、血糖値が長期間不良な状態で続いた結果として現れ、自覚した時点で糖尿病がかなり進行している場合も少なくありません。
糖尿病合併症の自覚症状を教えてください
神経障害
足の裏や指先など、身体の末端から症状が始まるのが特徴です。初期には足の裏に紙が1枚挟まっているような違和感や、チクチク、ピリピリとした痛み、ジンジンとしたしびれなどを感じます。これらは、正座した後のしびれに似た感覚と表現される方もいます。さらに進行すると、感覚が鈍くなり、怪我ややけどなどに気が付かず放置してしまうことがあります。
網膜症
目の奥にある網膜の毛細血管が障害されることで発症します。網膜は光を感知して脳に情報を伝える役割があるため、血管の損傷が進むと、視力の急激な低下や視野の一部が欠けるなどの症状が現れることがあります。
腎症
腎臓のろ過機能が徐々に低下し発症します。疲れやすさ、下肢のむくみ、貧血などの症状が現れます。また症状が進行すると、腎不全となり、最終的には人工透析が必要になることもあります。
編集部まとめ

糖尿病は、初期段階では目立った自覚症状が少なく、知らないうちに血管や臓器へ負担をかけていく慢性疾患です。「症状がないから問題ない」と自己判断してしまうと、気付いたときには合併症が進行している場合もあります。
初期にみられるお口の渇き(口渇)、尿の量や回数の増加(多尿)、体重の減少などは、日常のなかで見過ごされやすい症状です。健康診断などで血糖値やHbA1cが高めと指摘された場合は、できるだけ早めに医療機関での詳しい検査を受けましょう。
進行した糖尿病では、神経障害、網膜症、腎症といった合併症が現れやすく、これらは生活の質(QOL)に大きな影響を与えることがあります。糖尿病は血糖値の問題だけでなく、全身の健康に深く関わる病気になるため、早期の発見と継続的な管理が何より大切です。