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「緑内障の人が飲んではいけない薬」はご存知ですか?飲んではいけない理由も解説!

 公開日:2025/12/03
「緑内障の人が飲んではいけない薬」はご存知ですか?飲んではいけない理由も解説!

緑内障の治療では眼圧を下げることが重要ですが、なかには眼圧を上げてしまうおそれのある薬があります。特に、閉塞隅角緑内障の方は、こうした薬によって急激に眼圧が上昇し、急性緑内障発作を起こすリスクがあります。本記事では、緑内障の方が避けるべき薬の種類とその理由などを解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「緑内障の人が飲んではいけない薬」はご存知ですか?飲んではいけない理由も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

栗原 大智

監修医師
栗原 大智(医師)

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2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。日本眼科学会専門医。

緑内障の人が飲んではいけない薬の種類と理由

緑内障の人が飲んではいけない薬の種類と理由

緑内障の人が飲んではいけない薬の種類を教えてください

緑内障の方に禁忌とされている代表的な薬は、抗コリン作用交感神経刺激作用をもつ薬剤です。これらは瞳孔を広げて眼圧を上昇させるおそれがあるため注意が必要です。具体的には、風邪薬や咳止め抗ヒスタミン薬睡眠薬など多くの市販薬や処方薬が該当します。

ほかにも、乗り物酔い止めや排尿障害の薬、気管支拡張薬、一部の抗不整脈薬や狭心症治療薬、一部の抗うつ薬(三環系など)や抗不安薬、眠剤(ベンゾジアゼピン系)など、抗コリン作用を持つ薬剤は幅広く存在します。こうした薬の多くで、添付文書に緑内障(特に閉塞隅角)の患者さんには禁忌と記載されています。

市販薬にも抗コリン作用のある成分は含まれていますか?

はい、市販されている風邪薬や鼻炎薬、酔い止め薬などには抗コリン作用を持つ成分が含まれている場合があります。例えば、市販の総合感冒薬には、鼻水やくしゃみを抑えるために第一世代抗ヒスタミン薬が配合されていることがあります。また、市販の鎮痛剤でも製品によっては抗ヒスタミン成分を追加しているものがあります。そのため、緑内障の方が市販薬を使用する際は、パッケージの注意書きを読み、緑内障の方は服用しないでくださいや、医師または薬剤師に相談などの記載がないか確認することが大切です。

すべての緑内障の人が抗コリン薬を飲んではいけませんか?

いいえ、緑内障のタイプによって異なります。 危険なのは閉塞隅角緑内障の場合です。開放隅角緑内障であれば、抗コリン薬によって急激な眼圧上昇をきたすことは基本的にないと考えられています。実際、ほとんどの緑内障患者さんは開放隅角型です。そのため、2019年には抗コリン薬の添付文書上の禁忌事項が見直され、緑内障から閉塞隅角緑内障に表記が変更されました。開放隅角緑内障については慎重投与扱いとなり、必要であれば医師管理下で使用できるようになっています。

閉塞隅角緑内障の人が抗コリン薬を飲んではいけない理由を教えてください

閉塞隅角緑内障では、もともと目の中の房水の出口である隅角が狭くなっています。その状態で抗コリン薬によって瞳孔が開く(散瞳する)と、虹彩の根元にある毛様体筋がゆるみ、隅角がさらに狭く閉じてしまいます。その結果、房水の排出が滞ってしまい、急激な眼圧上昇をきたすことがあります。このようにして起こる急性発作を急性緑内障発作と呼び、激しい眼痛や頭痛、吐き気、視力低下などの症状を引き起こします。閉塞隅角緑内障の方に抗コリン薬の使用が禁忌とされるのは、こうした急性緑内障発作を誘発しかねません。

編集部まとめ

編集部まとめ

緑内障患者さんが注意すべき薬は、主に抗コリン作用のある薬であり、その多くは閉塞隅角緑内障の場合に問題となる薬です。開放隅角緑内障の方であれば基本的に使用可能ですが、それでも新しい薬を飲む際には眼科医に相談するのが望ましいでしょう。緑内障は糖尿病や高血圧などと同じく一生付き合う病気ですが、医師の指導の下で薬物療法と生活習慣の工夫を続ければ、多くの場合その進行を抑えられます。心配しすぎず、しかし油断せずに正しい知識で緑内障と向き合っていきましょう。

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