「白内障手術後の生活」はどんなことに注意したらいいかご存知ですか?
公開日:2025/12/05

白内障は多くの方が経験する病気です。年齢を重ねるにつれて白内障と診断される方が増え、見えにくさに悩まされる方が少なくありません。 しかし、日帰り手術が普及したことで、短時間の手術で発症前のクリアな視界を取り戻せるようになりました。 この記事では白内障手術後の生活の注意点を解説します。日頃から白内障かもしれないと感じている方に、この記事が参考になれば幸いです。
※この記事はメディカルドックにて『「白内障手術後の生活」はどんなことに注意したらいい?【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
柳 靖雄(医師)
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東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。
目次 -INDEX-
白内障手術後の生活の注意点
白内障手術後に運転はできますか?
白内障の手術からしばらくは、運転を控えましょう。当日は終日眼帯や保護眼鏡を装着します。その状態で運転する行為そのものは、普通車の場合違法ではありません。ただし開いている眼の視力が0.7以上で左右の視野が150度以上が条件です。しかし片眼では距離感がなく、夕方や夜間は視力も落ちるので安全性の問題があります。そのため手術の当日は、家族に送迎してもらうかタクシー・バスを使いましょう。また、翌日以降も1週間程度は運転を控えます。手術後の眼は開いていても見え方に脳が慣れておらず、視認能力が低下して危険です。
白内障手術後に洗顔や入浴はできますか?
白内障の手術で大きなリスクとなるのが感染症で、場合によっては失明につながるため、万全の注意が必要です。そのため手術当日から1週間程度は洗顔や入浴は禁止されます。ただし、手術の翌日からは、絞ったタオルで顔をふく程度ならかまいません。また、首から下ならシャワーもできますが、眼の周囲はできるだけ触れないようにします。手術から1週間後には、医師の許可があれば洗顔・入浴・洗髪ができるようになります。その場合でも、眼球を圧迫しないように注意するとともに、シャンプーやせっけんが眼に入らないように努めましょう。
白内障手術後に飲酒や喫煙をしてもよいですか?
飲酒は術後1週間程度は控えます。アルコールによって炎症が悪化するリスクが大きくなるためです。どの手術でも同じですが、アルコールの作用で血管が膨張して傷跡からの出血を促す恐れもあります。傷の回復のためにも、飲酒はできるだけ控えるべきです。さらに、お酒を飲んで気分が高揚すると、思わず目の周囲をさわってしまう場合もあり得ます。そのようなリスクを避けるためにも、お酒は控えましょう。また、喫煙も好ましくなく、有害物質を多く含む煙が目を刺激します。傷口の保護のため、術後1週間は喫煙を控えましょう。
白内障手術後に注意すべき合併症を教えてください。
白内障の手術は安全性に配慮して行われますが、手術である以上合併症の可能性が避けられません。リスクが高い合併症に細菌性眼内炎があります。術後数日のうちに細菌感染がおこり、見えにくさと痛みや充血が主な症状です。対応が遅れると失明するので、異変を感じたらすぐに受診しましょう。また、術後時間をおいて発症する後発白内障があります。手術前と同じようなかすみやまぶしさを感じる状態で、眼内レンズが入った袋(後嚢)に濁りが出た症状です。これはレーザーで濁りを取れば回復します。ほかの合併症は水晶体嚢の破れ・チン小帯断裂・レンズのずれ・網膜剥離・角膜混濁などです。
編集部まとめ
この記事では白内障の原因や症状、手術によって改善されることや術後に注意すべきことを解説しました。 手術で眼内レンズに入れ替えればまた視力は回復します。術後の見え方はレンズの種類で違うので、どれにするかは患者さんの生活に合わせて選びましょう。 白内障手術は短時間でできるとはいえ、大変繊細な手術で合併症もあります。しかし術後の注意点に配慮すれば、視力が回復して快適な生活が望めるはずです。もし白内障を指摘されたら、迷わず手術を検討してみましょう。