「逆流性食道炎の検査・治療法」はご存知ですか?放置した場合も解説!【医師監修】
公開日:2025/11/18

「酸っぱいものがこみあげてくる症状に困っている」「胸やけがして辛い」など、逆流性食道炎の症状に悩んでいる方は少なくありません。
逆流性食道炎の症状は、背部痛や咳嗽など胃部以外にも症状が出る可能性があります。日本人の5人に一人が罹患しているといわれている病気です。
本記事では、逆流性食道炎の検査・治療法を詳しく解説します。生活習慣の見直しをすることで予防が可能です。
逆流性食道炎に悩む方の参考になれば幸いです。
※この記事はMedical DOCにて『「逆流性食道炎の原因」はご存知ですか?発症しやすい人の特徴も解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。
逆流性食道炎の検査や治療方法

逆流性食道炎が疑われる場合どのような検査が行われますか?
逆流性食道炎が疑われる場合、内視鏡検査が行われます。内視鏡検査で、重症逆流性食道炎・軽症逆流性食道炎・NERD・他疾患などを鑑別します。ただし症状があっても、必ずしも内視鏡検査を行うわけではありません。まずは患者さんの自覚症状を問診し、内服薬の服用を開始します。内服薬服用で症状が改善する場合は、一過性の症状と診断し、経過観察となる可能性があるでしょう。改善が見られない場合は、内視鏡検査で食道の炎症状況を調べます。その際、食道裂孔(しょくどうれっこう)ヘルニアが合併していないかを確認することも重要です。内視鏡は苦しいというイメージを持たれる検査ですが、鼻から細い内視鏡を挿入する経鼻内視鏡で負担軽減が可能です。少しでも負担の少ない経鼻内視鏡検査を希望する場合は、医師に相談しましょう。
治療方法を教えてください。
逆流性食道炎の主な治療は、薬物療法です。胃酸を抑えるために、ヒスタミン受容体拮抗薬あるいはプロトンポンプ阻害薬(PPI)などの胃酸分泌抑制剤が処方されます。逆流性食道炎の治療には、より効果が高いプロトンポンプ阻害薬が使われることが多く、ほとんどの症状は改善します。8週間服用しても症状が改善しない場合は、PPI抵抗性胃食道逆流症が考えられるでしょう。その場合は、PPIの種類や服用するタイミングを変更する対応が必要です。基本的には内服治療が中心ですが、食道裂孔ヘルニアが原因の場合は外科手術が必要になる可能性があります。現在、逆流性食道炎の治療方法の開発や研究が進められています。さまざまな病態に応じた治療薬や管腔内内視鏡治療法など、効果の高い治療方法が開発されれば、逆流性食道炎に苦しむ患者さんのQOL向上につながるでしょう。また逆流性食道炎が重症化して潰瘍ができると、出血や狭窄、発がんなどの合併症の恐れがある重症型逆流性食道炎になります。この場合、積極的な治療と定期的な内視鏡検査が必要です。その他、胃酸の中和や胃酸による刺激を弱める効果のある制酸薬も、胃酸分泌抑制剤と併用して使われます。逆流性食道炎は、食事・生活習慣の見直しで予防が期待できます。暴飲暴食・早食いなどの食生活の見直しや減量、服装などの改善できることを心がけてみましょう。
治療を受けずに放置した場合はどうなりますか?
逆流性食道炎は、自然に治る病気ではありません。逆流性食道炎を疑う症状がある場合は消化器内科を受診しましょう。そのまま放置していると、バレット食道という食道がんの原因になったり食道の狭窄により出血や嚥下障害を引き起こしたりするなど、症状の悪化の恐れがあります。また、高齢者の場合は生活の質(QOL)が低下する可能性があります。逆流性食道炎は、治療により症状の改善が期待できる病気です。日常的にお困りの症状があったら、早めに治療を受けることが重要です。
編集部まとめ

逆流性食道炎は、日本人にとって珍しい病気ではありません。胃酸が増えすぎたり、胃酸の逆流を防ぐ働きが正常に行われなかったりすることが原因です。
主に胸やけや胃もたれの胃部の症状以外にも、咳嗽や声のかすれなど胃部とは関係のない症状が出る場合があります。
逆流性食道炎は主に高齢者がなりやすいとされています。しかし、早食い・喫煙習慣のある方・肥満の方などは逆流性食道炎になりやすいため、注意が必要です。
気になる症状がある方は放置せず、早めに消化器内科を受診しましょう。