「PTSDの方に言ってはいけない言葉」はご存知ですか?【医師監修】
公開日:2026/02/14

身近にPTSDの患者さんがいる方のなかには、どのように声かけをしたらよいのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。たしかにどのような声かけが正解なのか、迷うのも無理はありません。
本記事では、PTSDの方に言ってはいけない言葉を紹介します。
※この記事はメディカルドックにて『「PTSDの方に言ってはいけない言葉」はご存知ですか?安心感を与える接し方も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
目次 -INDEX-
PTSDの方に言ってはいけない言葉

PTSDについて教えてください。
PTSDとは、災害や戦争・事件・交通事故など生死に関わる恐ろしい体験をしていまい、トラウマ記憶として脳内で繰り返し恐怖を感じ続けてしまう疾患のことです。心的外傷後ストレス障害とも呼ばれており、強烈なトラウマ体験をすることで日常生活に支障をきたしやすくなります。PTSDはトラウマと混同しがちですが、特徴や症状などが異なります。トラウマは不快な体験をした際に心や身体に刻まれる傷のことで、時間の経過とともに徐々に薄れていくのが特徴です。しかし、PTSDはトラウマ後も継続的に体験が続くような状態が特徴です。当時の記憶がリアルに想起されるため、恐怖体験から離れていたとしても、まるで当時の場面にいるような感覚を味わってしまいます。PTSDのメカニズムは不明といわれており、トラウマを体験した方すべてが発症するわけではありません。そのため、同じ体験をしたとしても普段どおりの生活を送っている方もいます。
PTSDの症状について教えてください。
PTSDの主な症状は、再体験・回避行動・過覚醒・否定的思考などの4つに分類されます。具体的な症状の特徴は、次のとおりです。再体験は当時の恐怖体験を繰り返し思い出してしまい、精神的苦痛を感じるのが特徴です。例えば事件現場と似た環境に足を運んでしまったり、恐怖体験と関連するものを目にしてしまったりすると、当時の瞬間を鮮明に思い出してしまいます。体験時に関わるものと直面すると、トリガーとして引き起こされるため注意が必要です。回避行動とは、トラウマになるような場所や人物・物体などを避ける行動のことです。例えば、津波で被災を受けた方であれば海を避けるようになります。対象物が多いと行動に制限が生じやすくなるため、場合によっては日常生活に支障をきたす可能性もあります。過覚醒は交感神経が過剰に活性化し、心身ともに緊張状態に陥る状態です。PTSDだけでなく、慢性的なストレスやうつによっても発症することがあり、不眠症やイライラ・集中力低下・筋肉のこわばりなどの症状があります。長期間にわたって過覚醒が続くと日常生活に支障をきたすため、場合によっては新たな精神疾患の発症にもつながるでしょう。生死に関わる恐ろしい体験をすると、自己否定や絶望感・自責の念・人間不信などさまざまな否定的感情や思考に陥りやすくなります。かつて楽しめたことでも、PTSD発症後は楽しめなくなってしまうことも珍しくはありません。
PTSDの方に言ってはいけない言葉はどのようなことですか?
PTSDで苦しんでいる方のために、何とか元気づけようと言葉をかける方もいるでしょう。しかし伝え方次第では、かえって本人を傷つけてしまうことがあり注意が必要です。特に以下のような言葉がけは、本人を傷つけてしまう可能性があります。
- がんばりましょう
- 早く忘れましょう
- 生きているだけでよいではありませんか
- 私には耐えられません
- 気持ちはわかります
- 前向きに行きましょう
- 考えなければよいじゃないですか
- 強く生きないとダメですよ
- いつまでもくよくよしてはいけません
- 次によいことがありますよ
その他にも、PTSDの方に言ってはいけない言葉がたくさんあります。言葉のかけ方次第では、本人のなかで突き放されてしまった、誰にもわかってもらえないというような思いを抱きやすくなります。言葉をかける際は、患者さんの気持ちに寄り添った言葉がけが重要です。
PTSDの方に関わるときの注意点はありますか?
PTSDの方と接する際は、本人の様子をよく観察し、適切に対応することが大切です。PTSDは、何かしらのきっかけで突然起こる場合があります。再体験の際は「辛かったね」「私がいるから大丈夫よ」というように本人の心に寄り添った言葉をかけて、患者さんの心に寄り添いましょう。またPTSDの方と接する際は、当時のことを思い出させないよう配慮することが重要です。無理に話を聞きだそうとすると、フラッシュバックや過覚醒というような症状が引き起こされやすくなります。もし接し方でわからない場合は、精神科やメンタルクリニックの医師に相談しましょう。
編集部まとめ

本記事では、PTSDの方に言ってはいけない言葉を紹介しました。PTSDの方に安心感を与えるためには、本人の気持ちに寄り添った声がけが重要です。
その他にも、生活や健康などさまざまな側面でサポートすることで、日常生活への復帰がスムーズになりやすくなります。
PTSDの方への接し方で困った点があれば、精神科やメンタルクリニックなどに相談しましょう。