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「緑内障になったらしてはいけないこと」はご存知ですか?日常生活の注意点も解説!

 公開日:2025/04/05

緑内障は、眼圧の上昇により視神経に障害が起き、視野異常を引き起こす疾患です。

ただし、正常眼圧緑内障と呼ばれる、眼圧が正常範囲内(10〜20mmHg)にもかかわらず発症する緑内障もあります。この種類の緑内障は、視神経の脆弱性や血流の問題が関係していると考えられています。日本の疫学調査によると、40歳以上の人口において、正常眼圧緑内障の頻度は2.04%で、眼圧が高い緑内障(0.58%)の約3.5倍であることが分かっています​​。

いずれのタイプの緑内障の治療でも、眼圧の管理がとても大切です。眼圧を上昇させる行動や薬剤の使用を避ける必要があります。

症状を悪化させないためには、緑内障の正しい知識と注意点をしっかり理解することが大切です。

この記事では、緑内障を抱える方が知っておくべき禁忌薬剤や日常生活での注意点を解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「緑内障になったらしてはいけないこと」はご存知ですか?日常生活の注意点も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

柳 靖雄

監修医師
柳 靖雄(医師)

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東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。

緑内障になったらしてはいけないことや禁忌薬剤

注意マークと医師

緑内障になったらしてはいけないことを教えてください。

緑内障になった場合、日常生活で気をつけなくてはいけないことは、緑内障を進行させる原因である眼圧を上昇させないことです。眼圧を上昇させる動作の1つに、うつ伏せが挙げられます。うつ伏せの状態を長時間続けると、眼圧が高くなる可能性が高いため、緑内障を発症している場合は禁忌です。また、スマートフォンやタブレットなどの下を向いての作業も、眼圧を上昇させる原因になります。下を向いた状態は、水晶体が前方に傾き隅角が圧迫され、何度も繰り返していると眼圧が上昇する原因となります。うつ伏せで寝ること・長時間下を向いて本を読むことなどは避けるようにしましょう。

禁忌薬剤がありますか?

閉塞隅角緑内障の場合、瞳孔を広げる瞳孔作用のある抗コリン薬が禁忌薬です。例として次のような薬剤が挙げられます。

  • 抗ヒスタミン薬
  • 鎮痛薬
  • 睡眠薬
  • 抗不安薬・抗うつ薬
  • 抗パーキンソン薬

このほかにも、副腎皮質ステロイド・血管拡張薬・強心薬などがあります。閉塞隅角緑内障の方が抗コリン薬を内服した場合、散瞳作用により隅角が閉塞してしまい緑内障発作を起こす可能性が高いです。発作が起きると緊急手術での対応が必要となり、失明する場合もあります。内服している薬がある場合は、禁忌薬が含まれていないか確認し、医師や薬剤師と相談しましょう。

ステロイド剤は避けるべきですか?

ステロイドを含んでいる薬剤は眼圧を上昇させる可能性が高いため、閉塞隅角緑内障と開放隅角緑内障どちらの場合でも、使用を避けた方がよいでしょう。眼圧に影響する房水の流れが悪くなるため、眼圧を上昇させてしまうと考えられています。抗炎症作用が強いベタメタゾン・デキサメタゾン・プレドニゾロンで眼圧上昇が起こりやすいといわれています。また、点眼・軟膏・クリームなどを眼の周りや顔に塗布している場合は、眼圧が上昇する可能性が高くなるため注意が必要です。ステロイド剤を治療で使用している場合は、定期的に眼圧を測定し、眼圧の変動がないか確認することも重要です。

禁忌薬剤が使用できるケースはありますか?

禁忌薬剤の影響を受けるのは閉塞隅角緑内障ですが、薬物療法や外科的手術などを行い、眼圧のコントロールができている場合は薬の影響で散瞳しても緑内障発作は起こりにくいといわれています。眼圧が正常値である10〜20mmHgに維持できている状態であれば、禁忌薬剤の投与は可能です。内服を継続する場合には自己判断で行わず、医師や薬剤師に相談することが大切です。

編集部まとめ

診察する医師
緑内障は、初期の段階では発見されにくく、症状が進行すると視力低下や失明につながる疾患です。

緑内障の治療法には、薬物療法・レーザー治療・手術治療が行われます。
治療中の疾患がある場合には、眼圧が上がる薬剤の使用を避ける必要があります。

また、日常生活ではうつ伏せや下を向く作業を長時間行わないなど、眼圧が上がる可能性がある行動を避けるように意識しましょう。

眼の健康を維持できるよう、早期発見・早期治療が大切です。定期的に検診を受け、異常に気付いたときは早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師

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