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「知的障害の診断基準」はご存知ですか?検査方法も解説!【医師監修】

 公開日:2024/11/17

知的障害は予防や治療の方法がわかっておらず、患者さん自身が社会生活を送るうえでも大きな影響を及ぼすことが少なくない障害です。

この記事では知的障害の概要や原因のほか、混同されることがある発達障害との違いや、知的障害と診断された場合に利用できる制度・窓口などについて解説します。

身近に知的障害の患者さんがいる方だけでなく、知的障害について知りたいと思っている方も、ぜひ参考にしてください。

※この記事はMedical DOCにて『「知的障害の原因」はご存知ですか?症状や特徴も解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

伊藤 有毅

監修医師
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)

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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医

知的障害の診断基準や予防法・治療法

子どもを診る医療従事者

知的障害の診断基準について教えてください。

知的障害は、前述のとおり知的機能の低下と適応行動の制限を特徴とします。そのため、診断の際は知能指数(IQ)の検査を行います。これに加え、本人や家族から日常生活でのエピソードや普段の様子などを聴取して、適応行動の困難が確認されることも大切な判断材料です。また、知的障害の症状は18歳以下の発達期に現れるため、これ以降に知的機能の低下がみられた場合は別の障害や疾患の可能性を疑います。

知的障害を診断するための検査について教えてください。

知的障害の診断では、知能検査と適応行動の評価を行います。知能検査としては、言語理解や知覚推理のほか作業記憶や処理速度など脳の機能ごとの評価を点数化できるウェクスラー式知能検査や、子ども向けに作られた田中ビネー式知能検査を用いることが多いでしょう。また、適応行動の評価では日常生活におけるエピソードを聴取し、医師や心理士の主観ではなくVineland適応行動尺度といった一定の評価基準に沿って測定します。検査には医師や心理士だけでなく、教育機関のスタッフが協力する場合もあり、さまざまな視点からの総合的な評価が可能です。

知的障害を予防する方法はありますか?

冒頭で紹介したとおり知的障害には複数の原因があり、完全に予防することは難しいでしょう。しかし、妊娠中の母体の健康状態が発症リスクと関連することがわかっています。そのため、風疹や麻疹など知的障害のリスクを高める感染症のワクチンを接種して、感染症になるリスクを下げることが知的障害の予防に役立つ可能性があります。また、胎児の脳や神経系の発達に影響する可能性があるため、アルコールや薬物の摂取を避けることも知的障害予防につながるでしょう。なお、特定の遺伝的疾患や代謝異常については、予防は困難ですが出生前診断により早期発見や早期治療につなげることが可能です。

知的障害の治療方法にはどのようなものがありますか?

知的障害は原因がわからない場合も多く、根治が望める治療方法はありません。しかし、適切な支援や教育により一人ひとりの能力や特徴に合った生活の方法や工夫を身につけることで、生活の質を向上させることが可能です。知的障害を抱える方への支援内容としては、個々のニーズに合わせたリハビリテーションや特別支援教育が挙げられます。また、日常生活のスキルを向上させるための訓練や、社会的スキルを学ぶためのプログラムへの参加も効果的とされています。その他、併存する障害や症状がある場合は、その障害に対する支援や症状の治療も同時に行っていくケースが多いでしょう。

編集部まとめ

絵本を読む親子
知的障害を抱えている方は、ほかの人が日常的に行っていることや何気なくできていることにも大きな困難を感じていることも多いでしょう。

また、発症に先天的要因が関わっていることや患者さんの自立した生活が難しいことから、知的障害がある方の兄弟や親が大きな負担を抱えている場合もあります。

こうした背景のなかで、周囲の人たちが知的障害の特性や支援の在り方について理解を深めることは、患者さん本人や家族の負担を和らげることにつながるかもしれません。

この記事の監修医師

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