RSウイルス感染症は、多くの方が経験する身近な感染症です。
特に乳幼児のお子さんがかかりやすく、かつ身体的リスクによっては重症化しやすい感染症としても知られています。
お子さんにどのような症状が出ていればRSウイルス感染症が疑われるのか、知っておくことは重要です。
今回はRSウイルス感染症の症状を中心に、感染経路や対処法を解説します。
RSウイルス感染症を予防したい方や、重症化リスクが気になる保護者に役立つ内容となっています。
※この記事はMedical DOCにて『「RSウイルス感染症の症状」はご存知ですか?感染経路や治療法も解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
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信州大学医学部卒業。信州大学大学院医学系研究科スポーツ医科学教室博士課程修了。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師会健康スポーツ医。専門は整形外科、スポーツ整形外科、総合内科、救急科、疫学、スポーツ障害。
RSウイルス感染症の症状・感染経路
RSウイルス感染症とはどのような病気ですか?
RSウイルス感染症とは、RSウイルスへの感染によって引き起こされる
呼吸器の感染症です。呼吸器系の症状を中心に、発熱や鼻汁など風邪のような症状が現れ、通常約7〜12日程度で改善します。RSウイルス感染症は、多くの方が生涯にわたって感染を繰り返す身近な病気です。生後1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%のお子さんが1度はRSウイルスに感染するとされています。多くのケースでは軽症で自然回復していく感染症ですが、以下のような身体的特徴を持つお子さんへ感染した場合には、
重症化リスクが高まるため注意が必要です。
- 早産児
- 生後24ヶ月以下で心臓や肺に基礎疾患がある小児
- 神経や筋疾患の基礎疾患を有する小児
- 免疫不全の基礎疾患を有する小児
- 生後6ヶ月以内の乳児
また、RSウイルスは家庭内感染しやすいことでも知られているウイルスです。乳幼児と小児がいる家庭では、流行期間中に44%が感染したとの報告があります。感染リスクを抑えるためには、看病する家族もRSウイルスへの知識を深め、正しく対処する必要があります。
どのような症状が出ますか?
RSウイルス感染症にかかると、一般的には発熱や鼻汁など風邪のような症状が出ます。そのまま改善していくケースがほとんどですが、重症化すると以下のような症状が現れます。
- 咳がひどくなる
- 喉がゼーゼー・ヒューヒュー鳴る
- 息がしにくくなる
上記のような症状が出ている場合は、RSウイルス感染症が悪化して、細気管支炎や肺炎へと変化している可能性があります。特にお子さんが感染した場合、中耳炎や無呼吸発作、急性脳症の合併症が懸念されます。異変を感じたら、早めに医療機関に相談しましょう。
感染経路を教えてください。
RSウイルスの感染経路は、接触感染と飛沫感染の2種類に分けられます。接触感染とは、感染した患者さんとの直接の接触、あるいは患者さんが触れた物への接触による感染です。患者さんが触れた物や場所、RSウイルス感染症流行期間中の人混みには注意するとよいでしょう。一方で飛沫感染とは、感染した患者さんの咳・くしゃみ・発声などで飛んだ粒子を体内に取り入れることによる感染です。患者さんの飛沫は、約1〜2m飛び、ほかの方の粘膜や結膜に接触して新たな感染を引き起こします。
大人でもかかりますか?
大人でもRSウイルス感染症にかかります。しかし大人が感染した場合は、風邪のような症状に留まるケースがほとんどです。ただし一度に大量のRSウイルスにさらされると、症状が重くなるケースもあります。RSウイルスに感染したお子さんを看病する保護者や医療スタッフはとくに注意が必要です。看病中は手洗いやマスク着用、患者さん周辺の消毒を徹底して、ウイルスとの接触を抑えましょう。また、RSウイルス感染症の重症化リスクは、お子さんだけではなく、基礎疾患を有する高齢者も高まります。特に慢性呼吸器疾患がある高齢者は、RSウイルス感染が原因で重症肺炎を起こすといわれています。長期療養施設などでは、集団発生に警戒しなければなりません。
編集部まとめ
RSウイルス感染症になると、軽症の場合は一般的な風邪に似た症状が現れますが、2週間以内に自然に回復に向かいます。
しかし重症化すると、激しい咳や呼吸困難などの症状が現れるため注意しましょう。
RSウイルス感染症は、特に乳幼児期に感染すると重症化リスクの高い感染症です。
乳幼児のお子さんに基礎疾患がある場合は、薬によって予防する方法もあります。
お子さんのRSウイルス感染リスクが気になる場合は、かかりつけ医に相談しましょう。