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「感電」はどれくらいの電流で死に至るかご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/01/24

コンセントに触った時、びりっとしたことはありませんか。

感電とは、電流が人体を通って衝撃を与えることです。例えば、冬場にドアノブに触れたときや衣類を脱いだときに発生する「パチッ」という静電気も、感電の一種です。

また、デンキウナギのように、電気を発生させて他の生物に感電を与えようとする生物も存在します。

感電は電気工事に携わらない一般の人々にも起こり得る身近な事象であり、恐ろしい現象です。そのため、感電を防ぐための対策を知っておくことは非常に重要です。

この記事は、感電するとどうなるのか、メカニズム・対処法について説明します。

※この記事はMedical DOCにて『「感電」はどれくらいの電流で死に至るかご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

感電のメカニズムや症状

火花

感電とはどのような現象ですか?

感電は、電気製品や電気設備の不適切な使用や電気工事・漏電・自然災害による落雷などの要因によって、電流が人体を通って障害を引き起こす状態を指します。
漏電が発生している電気器具に接触すると、電流は通常の経路ではなくより導電性の高い人体を経由して地に流れることがあります。これが一般的に感電と呼ばれる現象です。電流が弱い場合は、痛みやショックといった症状が生じるだけで済みますが、強い電流が流れる場合には人命に関わる可能性もあります。

感電のメカニズムを教えてください。

感電は、電気が通っている電線や電気機器に触れて電流が体を通り、地面に電気が流れるときに発生します。また、2本の電線に同時に触れることも感電を引き起こします。
一方、静電気の場合は体の動きによって衣類が帯電し、ドアノブなど電気を通す物体に触れようとした際に指から地面に向かって電気が流れるのです。人体は電気に対して抵抗が低いため電気が容易に流れます。皮膚が水や汗で湿っていると電気抵抗がさらに低くなりさらに電気が流れやすくなり危険性が高まるのです。

感電するとどのような症状が出るのですか?

感電の症状は電流によって皮膚が損傷を受けると、熱傷が生じ、皮膚が痛み・発熱・全身の強い炎症・脱水症状が現れることがあります。強い電流が体内に入ってきた部位と出ていった部位に熱傷のようなキズが生じることがあります。
また、筋肉に影響を及ぼす場合、激しい筋肉痛や横紋筋融解症と呼ばれる状態が生じることがあります。横紋筋融解症は筋肉細胞の融解や壊死により、大量の筋肉成分が血液中に流れ込み、急性腎不全を引き起こし命に関わることもある病態です。
心臓に影響を及ぼす場合、心室細動や心停止などの危険な不整脈が生じることもあります。しかし、皮膚のやけどの程度と臓器の損傷の程度は必ずしも一致しないことに注意が必要です。

死に至るのはどのようなケースですか?

ブレーカーを落とさずに照明を取り換えた結果、作業員が感電死しました。というニュースを聞くことがあります。約1mA程度の電流が人体に流れるとシビレを感じさせ、約50mA程度の電流が継続的に流れると心室細動を引き起こし、作業者が死亡する場合があるのです。
濡れた手で電線を触ると、0.1アンペアくらいの電流は簡単に流れるので100vの家庭電源でも死に至ることがあります。

家庭用のプラグでも感電事故は起こりますか?

家庭用プラグでも、感電事故が起こります。金属製の物をコンセントに差し込んだり、コンセントとプラグの間に挟んでしまうと、発生する火花によってやけどを負ったり電流が体内を流れて組織に損傷を与える可能性があります。
プラグとコンセントの隙間にホコリが蓄積すると、「トラッキング現象」と呼ばれる問題が引き起こされます。これは、ホコリが周囲の湿気を吸収し、コンセントから漏電が生じる現象です。このようなとき、プラグをコンセントに差すと感電することがあります。
また、肌が湿っていると体内に電気が流れやすくなるため、唾液や汗で湿った手がコンセントやプラグに触れることは非常に危険です。

編集部まとめ

コンセント
感電するとどうなるのか、メカニズム・対処法について解説しました。感電は電流が人体を通って障害を引き起こすもので死に至ることがあります。

電気機器の普及により、電気に関わる人々だけでなく家庭でも電気に接する機会が増えています。その結果電気に関連した事故も増加しているのです。

感電の症状は、熱傷が生じ、皮膚が痛み・発熱・全身の強い炎症・脱水症状が現れることがあります。感電によって命を落とすこともあります。

感電事故を防ぐためには、「濡れた手で電気製品を触らない」といった対策が重要です。また、「正しくアースや漏電遮断器を設置する」ことも効果的な手段です。

アースや漏電遮断器が設置されていない場合や造設を考えている場合は、専門業者に相談しましょう。

電気を使わない日はありません。そのためにも感電の仕組みを理解することは非常に重要なのです。

この記事の監修医師