目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 「甲状腺クリーゼ」の検査・治療法はご存知ですか?【医師監修】

「甲状腺クリーゼ」の検査・治療法はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/01/26

甲状腺クリーゼという病気は甲状腺に何らかの病気を抱えている方で、感染や手術などの強いストレスが与えられると発症するといわれている病気です。生命の危険に関わる恐ろしい病気です。

バセドウ病や甲状腺機能低下症・甲状腺機能亢進症または甲状腺機能中毒症などといった病気と深い関わりがあります。

治療中や普段の生活でも気をつけるべきことがいくつかあるので、そちらも合わせて解説していきます。

※この記事はMedical DOCにて『「甲状腺クリーゼ」の症状や原因について解説!甲状腺に疾患のある方は要注意!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

プロフィールをもっと見る
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

甲状腺クリーゼの受診や治療

カルテを持つ医師

医療機関を受診する目安を教えてください。

バセドウ病にかかっている方で甲状腺薬を勝手に飲むのをやめたり飲むのを忘れたりした方で、38℃を超える発熱がある場合は甲状腺クリーゼが疑われるため、なるべく早急に受診してください。
また他の甲状腺中毒症にかかっている方で感染や手術などを行った際も注意が必要です。発症過程についてはまだ不解明なことが多いので、一概にこれらのときのみとはいい切れません。

どのような検査を行いますか?

甲状腺クリーゼは甲状腺ホルモンレベルが高くなることでも発症するため、甲状腺機能検査が行われ、TSH・F-T4・F-T3などのホルモン分泌量を測定します。これらのホルモンは甲状腺との関わりが深く、これらホルモンの分泌量が多かったり少なかったりすると甲状腺に何らかの異常がある病気のためです。
全身状態の把握のために一般的な血液・生化学検査・胸部X線・心電図などの一般検査が行われます。肝機能異常や腎機能異常の重症度は甲状腺クリーゼの予後にも関わりが深いとされています。循環不全・中枢神経障害・肝機能異常などの臓器不全が見られる場合には心エコーや脳波検査をすることもあるようです。

治療方法を教えてください。

甲状腺クリーゼは稀な病気ではありますが、放置すれば生命の危険が脅かされる病気です。検査の段階で甲状腺クリーゼの症状が強く見られる場合には、検査段階で治療を行っていきます。集中治療室で呼吸や血圧の管理をする必要があり、甲状腺ホルモン産生・分泌の減弱、甲状腺ホルモン作用の減弱・全身管理・誘因除去を行います。
また発症の原因となった病気によっても治療法が違う場合があるようです。薬物治療によって甲状腺ホルモンの分泌や作用を抑えます。全身管理では十分な輸液と電解質の補正、徹底した身体の冷却と解熱を行います。

編集部まとめ

微笑む女性
甲状腺クリーゼについて解説しましたが、恐ろしい病気ということがわかっていただけたかと思います。

前述したように発症に至るメカニズムでまだ不解明なことが多い病気でもあります。またバセドウ病・甲状腺機能低下症・甲状腺機能亢進症または甲状腺中毒症にかかっている方が必ず発症に至るわけではありません。

これらのような病気にかかっている方は処方されている薬を必ず正確に服用してください。日常の生活でも禁煙やストレスを抱えないようにしましょう。

甲状腺クリーゼについて正確な知識を患者も患者の周りの方も持っていると、大変役立つ可能性があります。かからないようにするために、日常生活から気をつけることが重要です。

この記事の監修医師