「甲状腺クリーゼ」の症状・原因・なりやすい人の特徴はご存知ですか?【医師監修】
甲状腺クリーゼという病気は甲状腺に何らかの病気を抱えている方で、感染や手術などの強いストレスが与えられると発症するといわれている病気です。生命の危険に関わる恐ろしい病気です。
バセドウ病や甲状腺機能低下症・甲状腺機能亢進症または甲状腺機能中毒症などといった病気と深い関わりがあります。
※この記事はMedical DOCにて『「甲状腺クリーゼ」の症状や原因について解説!甲状腺に疾患のある方は要注意!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
甲状腺クリーゼの症状や致死率
甲状腺クリーゼとはどのような病気ですか?
このような生命の危険が脅かされるような甲状腺中毒状態を甲状腺クリーゼと呼んでいます。症状は多臓器における非代償性状態を特徴とし、高熱・循環不全・意識障害・下痢・黄疸などがあります。発症におけるメカニズムはまだ解明されていないことが多いです。
原因としていわれているのが感染・手術・ストレスなどがあります。また大元の病気がバセドウ病とされていて、未治療や治療中断のバセドウ病患者が多数を占めています。
どのような症状がありますか?
- 全身性症状
全身性症状には38℃以上の高体温、1分間に130回以上の頻脈・多汗・ショックなどが代表的な症状です。
- 臓器症状
意識障害を中心とした中枢神経症状があります。大きい声で叫んだり暴力的な状態になったり、ふるまいに一時的に混乱がみられる状態になってしまう場合もあります。
また精神異常・傾眠(周囲からの刺激で覚醒するが、すぐに意識が混濁する)・痙攣・昏睡などもみられることがあるようです。下痢・嘔吐・黄疸などの消化器症状や心不全を中心とした循環器症状も特徴的な臓器症状です。臓器症状では中枢神経症状との合併が多く発生するといわれています。
- 甲状腺基礎疾患関連症状
甲状腺の働きが低下すると出てくる症状です。甲状腺ホルモンが不足し甲状腺機能低下症になると、元気がない・疲れやすい・寒気・皮膚の乾燥・便秘・むくみなどの症状が出ます。
一方甲状腺ホルモンが過剰になると、甲状腺機能亢進症または甲状腺中毒症になります。これらの病気では暑がりで汗がかきやすくなる・頻脈・身体の震え・イライラ・筋力の低下などが主な症状です。甲状腺クリーゼは甲状腺中毒症にあたります。
原因となる病気を教えてください。
また破壊性甲状腺中毒症やTSH産生腫瘍などによる報告もあります。このように甲状腺中毒症といわれる病気にかかっている方が発症しやすい病気です。
致死率はどのくらいですか?
死因で多いのが多臓器不全・心不全・腎不全・呼吸不全・不整脈などがあります。また後遺症を残す可能性があるようです。不可逆的な神経学的障害といわれるものです。低酸素性脳症・廃用性萎縮・脳血管障害・精神症などが少なからず見られます。
なりやすい人の特徴を教えてください。
編集部まとめ
甲状腺クリーゼについて解説しましたが、恐ろしい病気ということがわかっていただけたかと思います。
前述したように発症に至るメカニズムでまだ不解明なことが多い病気でもあります。またバセドウ病・甲状腺機能低下症・甲状腺機能亢進症または甲状腺中毒症にかかっている方が必ず発症に至るわけではありません。
これらのような病気にかかっている方は処方されている薬を必ず正確に服用してください。日常の生活でも禁煙やストレスを抱えないようにしましょう。
甲状腺クリーゼについて正確な知識を患者も患者の周りの方も持っていると、大変役立つ可能性があります。かからないようにするために、日常生活から気をつけることが重要です。