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「メビウス症候群」の症状・原因はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/01/27

メビウス症候群という病気をご存じでしょうか。メビウス症候群とは、主に先天性の顔面麻痺や外転筋麻痺を発症する病気のことです。

脳神経の病気であり、表情・呼吸・食事などへの影響が出てくる可能性があります。

日本では8万人に1人が発症するとされ、指定難病の1つです。遺伝・胎児期の異常などが疑われていますが、はっきりした原因はわかっていないのが現状です。

一般の方には馴染みのない難病かもしれませんが、メビウス症候群は多くの場合、突然変異的に発症します。

この記事ではメビウス症候群の症状・原因などについて解説します。メビウス症候群への理解を深めていただければ幸いです。

※この記事はMedical DOCにて『「メビウス症候群」の症状・原因・日常生活で注意することはご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

メビウス症候群の原因や症状

調査

メビウス症候群は先天性の病気ですか?

冒頭で述べたように、メビウス症候群は先天性です。主に顔面神経麻痺と外転神経麻痺を発症する病気になります。
外転神経麻痺とは、眼球の筋肉が麻痺してしまい、左右の眼がそれぞれ違う方向を向いている症状のことです。基本的に進行しない病気とされています。また後発的に発症するケースは確認されていません。

原因はなんですか?

メビウス症候群は先天性のため、遺伝や胎児期の血液供給不足などが原因として考えられています。しかしながらメビウス症候群のほとんどは突然変異的に発症し、家族に同じ症例は見られないことから、遺伝の可能性は少ないと考えられています。
ただし胎児期における血液供給不足に関しては相関するデータが多数報告されており、現時点においては一番有力な発症原因です。

症状を教えてください。

メビウス症候群では顔面麻痺と外転神経麻痺が起こります。顔面麻痺には表情が思うようにつくれないなどの症状があります。また、意外かもしれませんが、涙が流れない・口を開けにくいのも顔面麻痺の症状です。さらに症状がひどい場合だと、呼吸困難などの影響も懸念されます。
外転神経麻痺は一般の方には聞きなれない言葉かもしれませんが、基本的に「眼」に関する麻痺です。主に眼を外側に向けられない状態です。両方の眼に起こるのが多いですが、片側のみに症状がみられるケースもあります。その場合、両目を平行に動かせない状態になります。一般的に「斜視」と呼ばれる症状に見た目は近いです。

遺伝することはありますか?

先述したように、原因の1つとして「遺伝」は考えられていますが、今のところ有力なエビデンスは報告されていません。ただし遺伝子変異の可能性も考えられており、原因究明のための遺伝子研究はされています。
また、脳神経の病気であることから小脳・脳幹などの発達に何らかの異常があるのではないかとも考えられており、遺伝説と併せて相関関係の有無が研究されています。

編集部まとめ

本を読む女
この記事ではメビウス症候群について症状・原因・診断・治療方法などを解説しました。メビウス症候群は先天性の難病で、顔面麻痺・外転神経麻痺を伴うのが特徴です。

主な症状としては表情がつくれない・涙が流れない・口が開けにくいなどがあります。また、喉や舌などに麻痺がある場合は呼吸困難を起こす可能性もあります。

外転神経麻痺は眼に関する麻痺です。両眼を平行に動かせない・片方だけ別の方向を向いてしまうなどの症状が特徴です。

メビウス症候群の原因は未だ特定されていません。遺伝・胎児期における血液の供給不足などが原因として考えられていますが、現状では後者の説が有力とみられています。

診断は対面による観察などによって行われるほか、日常における呼吸困難の有無などを問診で聞き取ります。また、脳神経の病気であることから、特に第6・第7神経の異常の有無が重要です。

メビウス症候群に対する根本的な治療方法は確立されておらず、現時点では対症療法的な治療のみ行われています。

特に生後間もない時期は呼吸困難などを起こすケースがあるため、人工呼吸器などが必要になることがあります。

ただし将来的に自立した生活を送ることは十分可能です。早期に医師の判断を仰ぎ、子どもの発育を見守っていきましょう。

この記事の監修医師