「下肢静脈瘤」の検査・治療法はご存知ですか?【医師監修】
「最近足がだるい」「よく足がつる」「足のむくみがひどい」など、足のトラブルに悩まされたことがないという方はほとんどいないと思います。
そういった症状が出たとき、多くの方は「この程度は誰だってなるものだ」と考え誰にも相談することなく我慢してしまっているのではないでしょうか。
しかしそのような一見誰にでも起こりうるちょっとした症状の陰に、「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」という病気が潜んでいることがあるのです。
この下肢静脈瘤、場合によっては手術が必要になる重大な病気です。この記事で詳しく解説しますので思い当たる方は是非参考にしてください。
※この記事はMedical DOCにて『「下肢静脈瘤」を疑う初期症状・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
下肢静脈瘤の診断と治療
受診するべき初期症状を教えてください。
本記事の冒頭で触れたようにこういった症状の多くは疲れや一時的な血流悪化といった比較的軽い認識で済ませてしまいがちですが、安易に考えず積極的に受診することが大切です。
何科を受診するべきでしょうか?
また近年では下肢静脈瘤外来や下肢静脈瘤を専門に取り扱うクリニックも増えてきています。
どのような検査で下肢静脈瘤と診断されますか?
レントゲンなどの放射線を利用した検査に比べ安全性が高く、連続して行えるのが特徴です。また血管を圧迫しながら観察することにより血管内にある血栓についても診断が可能です。
治療方法を教えてください。
ストッキングを履くだけの治療なので在宅で行えるなど患者さんへの負担が少ないのが利点ですが、効果はストッキングを着用している間に限られますので治療というよりは進行を遅らせ症状を軽減することを目的としたものといえます。
次に積極的に血液の逆流を止める治療として「硬化療法」があります。これは簡単にいえば静脈に接着剤を注入しくっつけてしまう治療法であり、時間の経過により接着剤が剥がれてしまえば元通りとなってしまうリスクがあります。
そして最後は手術です。「ストリッピング手術」は伏在静脈と呼ばれる逆流の原因となっている静脈を丸ごと引き抜く手術です。最も根本的な原因を解決する治療のため再発も少ないですが、神経を傷つけてしまったり入院期間が長期化しやすいといったデメリットがあります。
「高位結紮術」は逆流が起こっている血管の根元を縛ってしまう手術です。日帰りが可能であるなど比較的軽度な手術ですが、やはり根本的な治癒は困難といわざるを得ません。
「血管内焼灼術」はカテーテルを使用してレーザーや高周波により血管内を焼いて閉鎖する手術です。ストリッピング手術に比べて痛みや内出血・神経障害などのリスクが少なく、手術後すぐに歩けたり最短当日に退院出来たりといったメリットがあります。
下肢静脈瘤の治療期間はどのくらいでしょうか?
編集部まとめ
足のだるさやむくみというのは特に女性であれば誰もが当たり前に付き合って生きているものですが、それが下肢静脈瘤ともなれば血管が浮き出たり色素沈着や潰瘍などといった美の大敵に変化します。
そうならないためにしっかり予防ができればそれに越したことはないのですが、立ち仕事や運動不足・不規則な生活など避けることができないという方もいらっしゃるでしょう。
大切なのはときどきでいいので自分の足をしっかりマッサージしてあげて、下肢静脈瘤の兆候を発見したらためらわずにまずは一度専門医を訪ねることです。
本記事が一人でも多くの悩みを取り除けますよう祈っております。