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「急性膵炎」の予防法はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/02/22

男女ともに比較的中高年に多くみられる急性膵炎は、年々増加傾向にあります。

「突然始まる激しい腹痛」が特徴で、重症化すると合併症を起こしてショック症状に陥ることもある病気です。

急性膵炎は、どのような原因で引き起こされ、どのような経過をたどるのでしょうか。

疑問をお持ちの方もいらっしゃると思いますので、今回は急性膵炎について詳しくご紹介します。

急性膵炎の予防方法まで詳しくお話ししますので、ぜひ最後までお読みください。

※この記事はMedical DOCにて『「急性膵炎」を発症すると現れる初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

急性膵炎の予防方法

家で一緒に料理を作る笑顔の日本人老夫婦

急性膵炎は治りますか?

急性膵炎は、一般的に治りやすい病気です。特に軽症の場合、早期に診断を受けて適切な治療を行うことで、炎症症状が改善されて治るケースが多くあります。しかし、重症化の中には、なかなか改善がみられずにショック症状などを引き起こして命を落としてしまう場合もあるのです。
急性膵炎が治るかどうかは、症状出現のタイミング・正確な診断・適切な治療方法などが大きく関係するため、早期発見・早期診断・早期治療が重要です。

死亡率は高いのでしょうか?

急性膵炎の予後は、重症化・合併症の程度に左右されます。厚生労働省公表のデータによると、軽症の膵炎患者の死亡率は0.8%ですが、重症の膵炎患者の死亡率は10.1%とかなり高い値です。
「急性膵炎診療ガイドライン」では、「急性膵炎の予後は、臓器不全・膵壊死により決定される」と示されています。急性膵炎患者の約10〜20%に壊死性膵炎がみられ、その死亡率は約15〜20%となっています。さらに、壊死性膵炎に臓器不全が伴うと、死亡率は約50%にまで上昇してしまうのです。
また、早期の急性膵炎であっても、すでに臓器不全があったり、48時間以上継続した臓器不全があったりする場合は、死亡率はさらに高い70%となっています。
しかし、医学の進歩により、重症の急性膵炎の予後も少しずつ良くなって来ている現状もあります。いずれにせよ、死亡率を下げるためには、早期に適切な治療を始めることが重要です。急性膵炎が疑われる症状がある場合には、早めに医師に受診しましょう。

急性膵炎の予防方法を教えてください。

急性膵炎を予防するには、膵臓に負担をかけないようにすることが大切です。1つ目はアルコールの大量摂取を控えることです。アルコールの大量摂取は急性膵炎の最も多い原因となっていますので、節度ある飲酒を心がけることが大切となります。
厚生労働省では、「1日平均純アルコールで約20g程度」を「節度ある飲酒」としています。具体的に換算すると、ビール中瓶1本(500ml)・日本酒1合(180ml)・ワイン1杯(120ml)・缶酎ハイ(350ml)です。これらを参考にして、適度なアルコール摂取を心がけましょう。
2つ目は、栄養バランスのとれた食事です。脂肪分の多い食べ物・刺激の強い食べ物は膵臓を刺激し、消化酵素の過剰な分泌を促してしまいます。このような食べ物は避け、低脂肪・低塩分の食べ物の他、野菜・果物を積極的に摂るようにしてください。また、胆石症の診断を受けている方・胆石症の既往がある方は十分に注意し、胆石を除去する必要がある場合は医師の指示に従いましょう。
急性膵炎は、自分自身で予防できる病気です。これらの方法を取り入れて、急性膵炎発症のリスクを減らすことが大切です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

急性膵炎は、症状を見逃さず、適切な治療を行うことで治る病気です。突然の腹部の激痛・吐き気など、当てはまる症状がみられる場合には、すぐに専門医を受診するようにしてください。軽症のうちに正確な診断がつき、早期に適切な治療を受けると、治癒率も高くなって膵臓にほとんど障害を残しません。
しかし、発見・治療が遅れると重症化して命を脅かすこともあります。早期発見のために、定期的に健康診断・人間ドックなどを受けるのもおすすめです。

編集部まとめ

病院で働く医者と看護師(4人)
急性膵炎について詳しくご紹介しました。

急性膵炎は、何らかの原因で膵臓が炎症を起こしてしまう病気です。その原因としては、アルコールの摂取・胆石症などが挙げられます。

突然現れる腹部の激痛が特徴的な症状で、他には吐き気・嘔吐・発熱などがあり、重症化すると意識障害・ショックなどが現れて命に影響を及ぼす危険があります。

早期に診断がついて、絶食・点滴などの治療が適切に行われれば、治癒が可能です。

自分自身で気をつけることができる病気なので、節度のある飲酒・バランスのとれた食事を心がけ、生活習慣を健康的に整えて急性膵炎を予防しましょう。

この記事の監修医師

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