「急性膵炎」の初期症状はご存知ですか?検査・治療法も解説!【医師監修】
男女ともに比較的中高年に多くみられる急性膵炎は、年々増加傾向にあります。
「突然始まる激しい腹痛」が特徴で、重症化すると合併症を起こしてショック症状に陥ることもある病気です。
急性膵炎は、どのような原因で引き起こされ、どのような経過をたどるのでしょうか。
疑問をお持ちの方もいらっしゃると思いますので、今回は急性膵炎について詳しくご紹介します。
急性膵炎の治療方法などを詳しくお話ししますので、ぜひ最後までお読みください。
※この記事はMedical DOCにて『「急性膵炎」を発症すると現れる初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
急性膵炎の検査と治療方法
受診を検討するべき初期症状はありますか?
「のたうち回るような痛み」などと表現される場合も多いです。痛みの部位は上腹部が最も多いですが、みぞおち・腹部全体に出ることもあり、背中の痛みを感じる場合もあります。痛みは持続的で、水分・食事を摂っても消えないのが特徴です。
また、吐き気・嘔吐を伴うことも多く、炎症反応の発熱も初期症状です。これらの初期症状が出現した際には、我慢したり、放置したりせずに、すみやかに受診して医師の診断・治療を受けるようにしましょう。
どのような検査を行いますか?
また、胆石が原因の場合は、肝胆道系の機能を示す酵素(AST・ALT・ALP・γ-GTP・ビリルビンなど)の上昇がみられます。加えて、白血球・CRPが高値を示す場合は、体内で炎症が起こっている証拠です。また、アミラーゼは尿中にも流出するため、尿検査でアミラーゼが高値を示した場合は、発症を疑います。また、トリプシノーゲン2(膵臓の消化酵素トリプシンの前駆物質)は急性膵炎の初期から尿中に排出され、試験紙で簡易に検査が可能なので迅速な診断に有効です。画像検査で行うのは、超音波検査・CT検査・MRI検査などです。
急性膵炎が起こると、膵臓の腫脹・周囲の浸出液貯留が認められます。また、重症化した膵炎では、腫脹した膵臓の中に黒く変化した壊死部分が確認できます。造影剤を用いて行う造影CTはより膵臓の状態が分かるので、確定診断の1つの手段として有効です。
これらの検査を組み合わせながら、急性膵炎の確定診断・原因の特定を行います。医師の指示で適切な検査を受け、正確な診断のもとで早期に適切な治療を行うことが大切です。
急性膵炎の治療方法を教えてください。
そのため、絶食して膵臓を休めることが重要です。点滴治療も非常に重要となります。急性膵炎では、腹部に血管や実質組織などから染み出した浸出液がたまってしまいます。その場合、血管内の水分が不足してしまい、脱水・循環不全を起こしてしまうので、十分な量の点滴を積極的に行うことが重要です。
投与量は患者の年齢・全身状態(心不全・腎不全の有無など)を考慮した上で、医師の指示のもとで個々に決定します。その他には、痛みの緩和のために鎮痛薬を使用することがあります。急性膵炎の痛みは持続的で激しいものです。患者は精神的不安が大きく、体を休めることもできずに体力的にも大きな影響を及ぼします。そのため、鎮痛剤を迅速に使用して十分に痛みを取り除く必要があるのです。
鎮痛剤の種類は、痛みの強さによって決まります。原因に対しての治療も重要です。例えば、胆石症が原因として明確になっている場合には、胆石を除去する処置が必要になるケースもあります。このように、治療方法はさまざまですが、個々の状態(膵炎の状態・年齢・既往・全身状態など)に応じて適切な治療が行われることが必要です。
入院期間を教えてください。
しかし、一部は重症化してしまう場合があるので注意が必要です。重症化・合併症などがある場合には、治療期間が長くなりますので、入院期間も数週間〜数か月になるケースが多くみられます。また、急性膵炎の治療では、炎症症状が改善した後も原因疾患の治療・膵臓機能の回復目的の治療が必要になり、入院期間が長引く場合があります。
このように、入院期間は個々の状態・治療方法によって違ってきますので、医師の治療方針によって指示された入院期間に従ってください。
編集部まとめ
急性膵炎について詳しくご紹介しました。
急性膵炎は、何らかの原因で膵臓が炎症を起こしてしまう病気です。その原因としては、アルコールの摂取・胆石症などが挙げられます。
突然現れる腹部の激痛が特徴的な症状で、他には吐き気・嘔吐・発熱などがあり、重症化すると意識障害・ショックなどが現れて命に影響を及ぼす危険があります。
早期に診断がついて、絶食・点滴などの治療が適切に行われれば、治癒が可能です。
自分自身で気をつけることができる病気なので、節度のある飲酒・バランスのとれた食事を心がけ、生活習慣を健康的に整えて急性膵炎を予防しましょう。
参考文献