「虫垂がん」の初期症状・検査・治療法はご存知ですか?【医師監修】
虫垂とは、盲腸からしっぽのように突出した管状の部位のことです。
虫垂がんの初期は症状がほとんどなく、気づいて病院に行く頃には、かなり進行してしまう非常に厄介な病気になります。
虫垂がんは、大腸がんの中では稀な病気ですが、治療後の5年生存率が61.6〜64.0%といわれています。
虫垂がんの生存率は、他の大腸がんである結腸がんや直腸がんと比べると、やや予後不良な傾向にあるのです。
今回の記事では、虫垂がんの初期症状・検査・治療方法・予後について解説します。
気になる症状のある方は、お近くの医療機関にご相談ください。
※この記事はMedical DOCにて『「虫垂がん」になると現れる症状や原因はご存知ですか?ステージについても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
虫垂がんの検査と治療方法
受診を検討するべき初期症状はありますか?
- 右下腹部の痛み
- 右下腹部の腫れ・しこり
- 発熱
- 食欲低下
自覚症状として初めに表れるのは、右下腹部の違和感です。他に、痛みやしこりのようなものに触れることもあります。
このような症状が出た場合は、すぐに受診することをおすすめします。
虫垂がんはどのような検査で診断されるのでしょうか?
- 注腸造影検査
- CT検査
- MRI検査
- PET検査
- 腫瘍マーカー検査
注腸造影検査とは、バリウムと空気を肛門から直腸の中に入れ、レントゲン検査を行うものです。この検査によって、どこにがんがあるのか、どのくらいの大きさなのかが確認できます。そして、CT・MRI検査による画像診断も行われます。
そして、CT・MRI検査による画像診断も行われます。CT・MRI検査は、身体の外側から腸の状態が確認できるので、患者の負担も少なくて済みます。
これらの検査の他に、より腫瘍の大きさ・位置・進行度を確認するために、PET検査や腫瘍マーカー検査も行われることもあります。
治療方法を教えてください。
- 外科手術
- 薬物療法
まず外科手術は、内視鏡では取り除けないがんの場合に選択される治療方法です。がんの悪性度が高い場合は、再発予防のために、外科手術で周辺の組織も摘出する場合があります。
次に薬物療法は、抗がん剤・分子標的薬などを用いてがんを縮小させる治療方法です。しかし、薬物療法には強い副作用があり、吐き気・便秘・下痢・倦怠感が出る場合があります。
虫垂がんの化学療法について教えてください。
化学療法のメリットは、転移した全身のがんにも効果があることと、効果が高いことです。しかし、化学療法は悪心・吐き気・脱毛などの副作用が強く表れる場合があります。
近年徐々に副作用の少ない薬の開発が進んでいますが、残念ながら現段階では副作用のない薬は開発できていません。
編集部まとめ
ここまで、虫垂がんの症状・原因・なりやすい方の特徴・初期症状・検査・治療方法・予後について解説しました。
虫垂がんの初期はほとんど症状がなく、進行していくと右下腹部の違和感・痛み・しこりを感じるようになります。
発症には喫煙・飲酒・肥満・運動不足・食生活との関連が大きく、予防のためには、生活習慣を見直す必要があります。
また、発症には遺伝的な要素もあり、家族の病歴に大腸がんなどがあったら注意が必要です。
虫垂がんは、40〜70代に発症する場合が多いので、そのくらいの年齢になったら定期的な検診が必要になります。
このような日常生活の見直しと定期的な検診を受けることによって、虫垂がんを予防または早期発見することが大切です。
参考文献