「尿管結石」の治療法・何科を受診するべきかご存知ですか?【医師監修】
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突然下腹部に激痛が走ることがあったり、血尿が出たりする人は要注意です。もしかしたらそれは尿管結石かもしれません。
尿管結石とは字のごとく尿管に結石ができることをいいます。
中年以降の男性に発症しやすい傾向ですが、最近では女性や若い男性にも増えている病気でもあります。
放置しておくと腎機能の低下のリスクや再発のリスクが高いともいわれており、注意が必要です。
今回は尿管結石について、治療法などを詳しく解説しますので是非参考にしてください。
※この記事はMedical DOCにて『「尿管結石」の症状・原因・予防法・控えた方がよい食べ物はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
![平澤 陽介](https://media.medicaldoc.jp/wp-content/uploads/2022/09/3b97dcfd339324d37d73a9af7591199a.jpg)
監修医師:
平澤 陽介(東京医科大学病院)
2010年3月 横浜労災病院 初期研修修了
2011年4月 慶應大学病院 泌尿器科 助教
2014年4月 東京医科大学病院 泌尿器科 助教
2018年4月 東京医科大学病院 泌尿器科 助教・医長 医学博士取得
2019年5月 Cedars Sinai (アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス)にResearch fellowとして留学
2021年4月 東京医科大学病院 泌尿器科 講師
目次 -INDEX-
尿管結石の治療方法
尿管結石を疑う場合は何科を受診しますか?
どのような検査で診断されるのでしょうか?
- 身体検査: 腹部や腰部の触診を行い、痛みや腫れ、圧痛の有無を調べます。
- 尿検査: 尿路感染症や膀胱炎、腎臓疾患などの有無を調べるために尿検査を行います。
- 血液検査: 腎臓の機能や炎症反応の有無を調べるために血液検査を行います。
- 腹部X線検査: 石の有無や位置を調べるために、腹部X線検査が行われることがあります。ただし尿管結石はX線で検出できない場合があるため、CT検査がより適切な場合があります。
- 腹部CT検査: X線よりも詳細な画像を得るために、腹部CT検査が行われることがあります。
- 腎臓・尿管・膀胱のレントゲン検査: 石の位置・大きさ・尿路の異常を調べるために、レントゲン検査を行います。
治療方法を教えてください。
- 薬物療法:結石の大きさが5ミリ以下の場合は95%が自然に排石されるため、疼痛コントロールや抗生剤の感染予防投与などの保存的治療がメインになります。尿管結石と診断される大多数がこの5ミリ以下の小さい結石のことが多く、ほとんどの人はこの保存的加療が選択されます。この大きさであれば、水分補給を十分に行い尿をしっかりと出すことで自然に尿管結石を排出することが可能です。ただし、大きすぎる場合には適さない治療法です。特に10ミリ以上の大きな結石は自然排石がほとんど望めないため、次にあげるような積極的な治療が必要になります。
- 手術療法:体外衝撃波で、結石を細かく砕く方法があります。砕かれた結石は尿と一緒に体外へ排出されます。この方法は日帰りの外来治療で行える施設が多く、もし入院となっても入院期間も短いため、一般的には最初に選択される治療法です。そのほかに尿道を通じて内視鏡で尿管内にある結石を摘出する方法があります。痛みを伴うことがありますが、比較的大きな結石にも対応できるため、結石が大きい場合に適している方法です。最後に開腹手術ですが、結石が非常に大きくて上記の治療法で摘出出来ない場合に行う方法で、現在では限られた症例にしか行いません。
尿管結石の治療で手術することはあるのでしょうか?
手術が行われるのは結石が大きくて排出しきれない場合・尿管が完全に詰まっているために腎臓機能が低下している場合や感染を合併している場合などです。手術には尿管にカテーテルを挿入して結石を破砕したり、結石を取り出したりする方法があります。
また、場合によっては腎臓を切開して手術を行う場合もあるので、しっかりと医師と相談したうえで判断しましょう。
編集部まとめ
激痛が伴うこともある尿管結石には誰も経験したくないでしょう。しかし尿管結石は早期発見できれば手術をすることもなく治療を行えます。
血尿が出たり腰痛があったりするなどの前表がある際は、早めに泌尿器科で診察してもらいましょう。また、結石かと思っていたら大動脈解離であったなどの怖い病気が隠れていることもあるので、痛みなどの症状がある場合にはなるべく早く病院を受診して、CT検査などの踏み込んだ検査を受けて医師の診察を受けてください。
また、一度尿管結石を経験すると再発リスクが非常に高いので、運動・正しい食生活・こまめな水分補給を取り入れることで、未然に防ぐことが大切です。
まずは発症しないように普段から気を付けて予防をすることが一番のおすすめです。