「頭部白癬」の症状・原因・感染経路はご存知ですか?医師が監修!
真菌(しんきん)と聞くとあまりなじみがないように思われがちですが、実は水虫などの原因となる白癬菌(はくせんきん)も含まれるのです。
白癬菌とはどこにでも存在しているカビの一種で、存在しているだけでは特に害はありません。しかし、免疫力の低下などで異常繁殖することがあり、注意が必要です。
そのような白癬菌が頭部に及ぼす頭部白癬(とうぶはくせん)という病気について、ご存じでしょうか?
こちらも初めて耳にする人も多いと思われます。そこで、当記事では頭部白癬について解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「頭部白癬」の症状・原因・予防方法はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
頭部白癬とは
頭部白癬の特徴を教えてください。
発症部位によっては、痒みが強くなることがありますが、頭皮がかさついたり硬くなったりする場合もあるのです。白癬菌が原因で引き起こされるため、感染経路としては患者の皮膚や毛髪に付着した真菌が、別の人に感染することがあります。
特に、子どもたちの間で感染が起こりやすく、学校や幼稚園などで集団感染が発生することも珍しくありません。
頭部白癬の治療には、抗真菌薬の外薬や内服薬が使われます。
症状が重い場合は、皮膚科医の指導のもとで治療を行うことが必要です。
また、感染拡大を防ぐため、感染源を除菌することも重要です。
どのような症状がみられますか?
- 頭皮のかゆみや痛み
- 頭皮の赤みや腫れ
- 大量のフケの発生
- 髪の毛が抜けやすくなることや、抜けた部分に小さな黒点が見られること
- 頭皮の表面がざらつき、かさつき、硬くなることがある
- 頭皮の傷口やかさぶたができることがある
- 髪の毛が細くなって、やわらかくなることがある
症状の範囲が広がり、顔・首・胸にかぶれのような症状が現れることがあります。これらの症状が見られた場合には、早めに皮膚科医の診察を受け、適切な治療を行うことが必要です。
発症する原因は何ですか?
以下のような例が、具体的な原因です。
- 免疫力の低下
- 過剰な皮脂分泌
- 汗や湿気
- 温度変化
病気・ストレス・栄養不足は免疫力を低下させ、結果的に白癬菌の増殖を抑制できなくなります。頭皮の皮脂も白癬菌が増殖する原因で、汗や湿気が多い状態も、白癬菌を増殖してしまう環境です。
気温・湿度の変化は頭皮の環境を変化させてしまい、悪い条件がそろうと、白癬菌の増殖が促進してしまいます。これらの原因が重なることで、頭部白癬が発症することがあります。適切な予防策を取り、早めの治療が必要です。
感染経路を教えてください。
- 直接的接触
- 間接的接触
- 環境からの感染
- 動物からの感染
感染した人と直接接触は、白癬菌を皮膚から皮膚へと伝えてしまいます。特に、親子や兄弟姉妹などの家族内での感染が多いです。感染者のヘアブラシ・帽子・タオルなどを共有することも、白癬菌が感染するため、避けてください。
感染者の寝具や衣服を共用も、同様に控えてください。感染者が接触した場所(ジム・プール・公共のシャワールームなど)で白癬菌が生息している場合、感染する可能性があります。犬・猫などが白癬菌に感染していると、人へも直接感染するため、ペットを飼育している人は注意が必要です。
これらの感染経路によって、頭部白癬が広がることがあります。感染を防ぐためには、感染者との接触を避ける・共用品の使用を控える・清潔な環境を保つなどの対策が必要です。
編集部まとめ
頭部白癬について、詳しく解説しました。真菌感染症の一種で、頭皮や毛髪に発生する病気です。
白癬菌と呼ばれる真菌が原因で発症するのですが、白癬菌は特別な菌ではなく、どこにでも存在します。そのため、感染経路も幅広くなるため、頭皮の環境を清潔に保つことが有効です。
代表的な症状は、頭皮のかゆみや痛み・頭皮の赤みや腫れ、フケの大量発生があります。
そして白癬菌が繁殖する原因は、ストレス・栄養不足などによる免疫力の低下です。結果的に他の病気の予防にも繋がるため、意識して生活習慣の改善に取り組んでください。
治療についても完治が見込める病気です。むやみに自己診察をせず、早い段階で皮膚科医を受診しましょう。治療内容は主に投薬が行われており、外用薬・内服薬・外用薬と内服薬の併用があります。
どのような症例においても、早期発見・早期治療に努めてください。