「偽痛風」を発症したら何科を受診したらいいの?【医師監修】

偽痛風とは、痛風と同じような関節炎を引き起こす病気であり、痛みや腫れなどの症状を発症することがあります。
似たような症状であるため、痛風と混同される方もいますが、全く異なる原因であり適切な治療が必要です。
診断方法・治療方法を解説ご紹介するので、参考にしてください。
※この記事はMedical DOCにて『「偽痛風」になると現れる初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
偽痛風の診断方法と治療方法
何科を受診すればいいですか?
内科では痛風の治療を行っている場合もあります。そのため、血液検査などで痛風か偽痛風かをすぐに判断してもらえる可能性が高いです。
この病気は、珍しい病気ではないため、大きな病院に限らず治療を受けられる可能性が高いです。少しでも症状を感じた場合などは、早めに近くの医療機関を受診しましょう。
偽痛風の診断方法を知りたいです。
- 痛風
- 変形性関節症
- 関節リウマチ
- 細菌感染
先述したように、痛風は偽痛風とよく似ている病気です。しかし、痛風は高尿酸血症であるのに対して、偽痛風はピロリン酸カルシウムの結晶により症状があらわれます。そのため、高尿酸血症を示さずピロリン酸カルシウムの結晶を示すのであれば、偽痛風と診断できます。
変形性関節症とは加齢に伴って骨や軟骨が変形する病気です。特に、膝関節で発症するケースが多く、この場合は偽痛風と同じような状態となります。しかし、変形性関節症の場合は、ピロリン酸カルシウムの結晶を認めないことから病気の診断が可能です。
関節リウマチは、関節の腫れや変形などの症状が現れる病気です。見分ける方法としては、痛み方の違いで分けられます。偽痛風の痛みは急性であるのに対して、関節リウマチは慢性的な痛みである点が大きな違いです。また、血液検査などでも確定させられます。細菌感染も似ている病気に挙げられます。
細菌感染によって、関節やその周囲の皮下組織などに、痛み・腫れ・発熱を伴う病気です。この場合は、ピロリン酸カルシウムの結晶が認められないことから、見分けられます。このように、それぞれの病気の特徴や原因を比較することで、確定診断を行います。
どんな検査が行われるのですか?
- X線検査
- 関節穿刺液検査
- 血液検査
検査方法の1つが、X線検査です。この検査方法では、関節に結晶ができていないかを確認します。結晶ができている場合は、石灰像が認められるためこの病気の可能性が高いです。
関節穿刺液検査とは、注射を関節内に刺して関節液を採取する検査方法です。採取した関節液は、偏光顕微鏡で見てみると結晶の種類が分かるため痛風などの病気と見分けられます。血液検査では、尿酸値やリウマチでないことを調べます。
偽痛風の治療方法について詳しく知りたいです。
- 非ステロイド系抗炎症薬
- 患部冷却
- ステロイド薬
- 関節へのコルチコステロイドの注射
- 理学療法
非ステロイド系抗炎症薬は、急性の場合に用います。この薬の内服によって、炎症や痛みの軽減を図り症状を落ち着かせる方法です。また、患部冷却などによっても痛みの軽減効果が期待できます。20分程度冷却してみて、再び患部が熱を持つようなことがあれば冷却をするといった対応を繰り返すと良いでしょう。
複数の関節で同時に炎症が起きているケースや強い炎症反応が出ている場合には、速やかに痛みを軽減させるためにステロイド薬を使用するケースもあります。さらに、関節液を排出して、直接的に関節部位にコルチコステロイドを注入する方法もあります。これは、速やかに痛みを軽減するために行う方法です。
理学療法も併せて行うことがあります。筋力強化訓練や関節可動域訓練などが代表的で、関節の機能維持に役立つ治療方法です。
編集部まとめ
偽痛風は、高齢の方が発症しやすく、痛み・発熱・腫れといった痛風と似た症状を伴う病気です。
しかし原因は全く異なるため、専門の医療機関を受診すれば、すぐにどの病気による症状なのかを見分けられるでしょう。
少しでも症状の疑いがある方や違和感を覚えている方は、我慢をせずに早めに受診して治療を始めましょう。治療が早ければ、治療期間も短く症状の早期改善が期待できます。