「ギャンブル依存症」の治療法はご存知ですか?【医師監修】
公開日:2025/03/13

ギャンブル依存症は数ある依存症のうちの1つで、ギャンブルにのめりこんでしまう病気を指します。
借金をするなど、自分や周囲の生活に不利益や迷惑が生じることをわかっていながらも、より大きな刺激を求めてギャンブルを続けてしまうことが特徴です。
今回はギャンブル依存症について、どのように診断されるか、治療方法について紹介しましょう。

監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
※この記事はMedical DOCにて『「ギャンブル依存症」の特徴・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
ギャンブル依存症の診断と治療
ギャンブル依存症はどのように診断されますか?
本人へのヒアリングによって、ギャンブルへの依存度を診断します。具体的には、賭け事への強烈なとらわれ・欲望と渇望・勝ち負けや結果への慣れ・欲望のコントロールの困難さなどをヒアリングして診断を下します。この病気の診断の基準として用いられている米国の診断基準(DSM-5)を紹介しましょう。
- 望む興奮を得るために、掛け金の増額が必要になる
- ギャンブルをやめると落ちつかなくなったり、いらいらしたりする
- ギャンブルを控えよう・減らそう・止めようと努力を繰り返したが成功していない
- 過去のギャンブルの経験をまざまざと思い出したり、次のハンディ付けや計画を考えたり、資金を得る方法を考えるなどいつもギャンブルのことを考えている
- 苦痛な気分(無力感・罪悪感・不安・抑鬱)の時にギャンブルに走ることがよくある
- 負けた分を別の日にとり返そうすることがよくある
- ギャンブルに熱中している程度を隠そうと嘘をつく
- ギャンブルのために重要な人間関係・仕事・教育・職業上のチャンスを失いかけるか、失ったりしたことがある
- 賭け事が原因の絶望的な経済状況を救済する金を出してほしいと他人に頼る
カウンセリングでは過去1年でこうしたチェック項目に当てはまるかどうかをチェックし、重症度を調べます。アメリカでは、上記のうち4〜5項目当てはまれば軽度、6〜7項目で中度、8〜9項目で重度とされています。
ギャンブル依存症は治るのでしょうか?
適切な治療と支援を受ければ回復が可能な病気です。ただしこの病気は脳の機能が関係しているので、本人の気持ちや努力だけで治るものではありません。専門機関の治療や自助グループの支援を受けながら回復していくことが大切です。
ギャンブル依存症はどのような治療を行いますか?
精神療法を行います。具体的には「ギャンブルをしたい」という自分の渇望に対抗するスキルを身につけ、自分の問題を反省し、生き方を改めていくといったようなカウンセリング手法が取られます。
またこの病気では、本人だけでなく家族など周囲の人にも迷惑や被害が及んでいることが少なくありません。それに伴う心理的な問題や本人の罪悪感なども乗り越えていく必要があります。
そしてこの病気ではカウンセリングだけではなく、同じ病気を抱える人たちの自助グループに加入し、支援を受けることもおすすめします。自助グループではグループミーティングによる報告活動などの定例活動を行っており、この活動がミーティングによって長期的にギャンブルから離れられ、生き方が変わったという人も多いです。
またこの病気では、本人だけでなく家族など周囲の人にも迷惑や被害が及んでいることが少なくありません。それに伴う心理的な問題や本人の罪悪感なども乗り越えていく必要があります。
そしてこの病気ではカウンセリングだけではなく、同じ病気を抱える人たちの自助グループに加入し、支援を受けることもおすすめします。自助グループではグループミーティングによる報告活動などの定例活動を行っており、この活動がミーティングによって長期的にギャンブルから離れられ、生き方が変わったという人も多いです。
編集部まとめ
ギャンブル依存症は本人の気持ちや性格が原因ではなく、脳の病気です。
本人の自覚なしに症状が進むことが多く、身近な人が発見し、サポートしてあげることが治療・回復のポイントです。
病気の治療には病院だけでなく、行政機関や自助グループも利用できます。
この病気は精神療法や自助グループによる内省活動によって、ギャンブルから離れた生活を手に入れることで回復します。
もし身近な人がパチンコなどのギャンブルや賭け事にのめりこみ過ぎていると感じたら、まずは専門窓口に相談してみることが大切です。
参考文献