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「肺線維症」を発症すると現れる症状・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?

 公開日:2024/12/17

肺線維症は、難病とされる病気です。肺が線維化することで酸素の取り込みが難しくなり、呼吸困難などの症状が現れます。

慢性経過の疾患ですが、治療に取り組むことで進行を抑制したり、急激な悪化を防止したりすることが可能です。

本記事では、この病気の特徴に触れながら、行われる治療方法などを紹介します。

病気の治療には、その病気をよく知ることが大切です。必要な知識を身につけて、病状の進行抑制や症状の軽快に役立ててください。

※この記事はMedical DOCにて『「肺線維症」を発症すると現れる症状・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

肺線維症とは?

胸を抑えるマスクをした女性

肺線維症の特徴を教えてください。

この病気の特徴は、肺胞の壁が厚く硬くなることです。壁が厚く硬くなることを、「線維化」といいます。
肺胞は肺に存在する器官です。血液中の二酸化炭素を取り込み、肺の中の酸素を血液に与える役割を果たします。
このやり取りは肺胞の壁を通して行われるため、線維化が生じるとやり取りが難しくなります。それによって、様々な症状が現れる疾患です。

どのような症状がみられますか?

線維化によって酸素の交換がうまくできないため、呼吸困難の症状がみられることが特徴です。
安静時は問題ありませんが、階段の昇り降りや軽い運動で息切れが生じやすくなります。入浴・排泄といった日常生活の簡単な動作で生じることもあります。
また、硬くなった肺胞は膨らみにくいため、深呼吸が難しくなることも特徴です。痰の絡まない乾いた咳が続くケースもあります。
これらの症状は、病気が進行して現れる場合が多いです。初期段階では自覚症状がほとんどなく、病院を受診したときにはかなり進行していたということもあり得ます。
更に進行すると二酸化炭素の排出もうまくいかなくなり、全身状態が急激に悪化し命に関わります。

発症する原因は何でしょうか?

線維化が起きる原因は、肺胞の壁に炎症や損傷が生じることです。
炎症・損傷によって傷つけられた壁は、時間をかけて硬く厚くなっていきます。この炎症・損傷が生じる原因は様々です。
膠原病と呼ばれる自己免疫が自分の身体を攻撃する疾患にかかっていると、免疫機能が肺を攻撃してしまう場合があります。
ほこり・羽毛・カビなどを慢性的に吸入していることで損傷が起きたり、服用した薬剤の影響で傷ついたりすることもあります。
その他にも考えられる原因はありますが、発症の原因は特定できないことが多いです。
発症した患者さんのおよそ半数が原因不明であるとされています。

間質性肺炎との違いを教えてください。

間質性肺炎は、肺胞の壁に炎症・損傷が生じる病気の総称です。肺線維症はその総称に含まれる病気の1つで、肺の線維化がみられた場合に診断されます。
間質性肺炎の中で発症の原因が不明であるものは、「突発性間質性肺炎」と呼ばれます。
突発性間質性肺炎は7種類に分けることが可能です。その中でも最も多いのが、「突発性肺線維症(IPF)」という病気です。50%以上の割合を占めています。

なりやすい人の特徴を教えてください。

突発性肺線維症の患者さんは、50歳以上の男性の方が多いです。
また、そのほとんどが喫煙者であることから、喫煙の習慣がある人はこの病気にかかる可能性が高くなります。
加えて、遺伝子に問題がある場合、肺線維症になりやすいです。家族や親戚に発症した人がいるならば、遺伝子の影響を受けている可能性があります。
その場合は「家族性肺線維症」と呼ばれます。年齢が若い方でも発病しやすいタイプです。職業によって発症しやすくなることも考えられます。
金属やアスベストの粉塵を吸う機会が多い職業の方は、肺が傷つくことで病気になるリスクが高いです。

編集部まとめ

カルテを説明する人
肺線維症は肺胞の壁が線維化し、酸素の取り込みと二酸化炭素の排出が困難になる病気です。

初期の段階では自覚症状がほとんどなく、進行するにつれて呼吸困難などの症状が現れます。しかし、場合によっては急性増悪が生じ、病状が急激に進行することもあります。

主に行われる治療法は薬物療法です。主に症状の進行を抑える薬が処方されます。薬を服用しても、線維化した肺が元に戻ることはありません。

また、日常生活の見直しで進行を抑えることも可能です。禁煙を行い、急性増悪の原因となる風邪などを徹底的に予防しましょう。

完治の難しい病気ですが、適切な治療を施せば症状が軽快する可能性もあります。担当医や家族のサポートを受けながら、治療に取り組んでいってください。

この記事の監修医師