「漏斗胸」の治療法や手術費用はご存知ですか?【医師監修】

漏斗胸とは、胸のあたりの一部が陥没してしまう病気のことです。乳幼児期に陥没がみられることもあり、見た目の問題で精神的負担となることもあります。
また、陥没がひどい場合には、心肺機能に異常が見られることもあるため、注意が必要です。
そこで本記事は、漏斗胸がどのような病気なのかをご紹介します。手術方法・後遺症なども併せてご紹介するので参考にしてください。
※この記事はMedical DOCにて『「漏斗胸」とはどのような病気かご存じですか?症状や原因など医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
目次 -INDEX-
漏斗胸(ろうときょうの)の治療や手術方法
どのような治療が行われますか?
- 陰圧吸引療法(バキュームベル・ペクタスエッグ)
- 呼吸・姿勢療法
- 運動
陰圧吸引療法とは、胸に大きな吸盤を取り付けて、胸を持ち上げる方法です。毎日長時間にわたって装置を着ける必要があります。呼吸・姿勢療法では、胸を張って大きく息を吸い込むことで、陥没を目立たなくする治療法です。
この病気の方は猫背であることが多いため、姿勢を正すことでも陥没を目立たせなくできます。運動による治療とは、水泳などの運動を行い、肺活量を増やして胸の形の改善を図る方法です。
しかし、陥没した胸が大きく改善するわけではありません。陥没の程度が軽ければ、これらの方法で改善が見込めるでしょう。しかし、陥没がひどい場合は、どの治療法も大きく陥没を改善するには至りません。しっかりと陥没の治療を行うためには、手術が必要です。
漏斗胸(ろうときょう)の手術方法を教えてください。
肋骨や肋軟骨を削るなどはしないため、短時間の手術が可能で、出血量も少なく傷も目立ちにくい点が特徴です。金属のバーは年齢によっても異なりますが、おおよそ1年半~3年後に抜き取ります。
手術費用の相場を教えてください。
ただし、この金額も必ずしも全額負担というわけではありません。利用できる公的な制度もあるため、実際の負担額はもう少し抑えられる可能性があります。詳細な手術費用の控除額について知りたい場合には、自治体に問い合わせてみましょう。
手術によって後遺症が残る可能性はありますか??
これは、Nuss手術があくまでも矯正治療の一種のためです。もちろん、後戻りが起きないケースもあります。しかし、成人では後戻りがしやすいことも分かっています。とはいえ、手術後の状態と比較すると陥没が再発するというだけで、手術前の状態に完全に戻ってしまうわけではありません。
編集部まとめ
漏斗胸は、決して珍しい病気ではありません。
しかし、はっきりとした原因は未だ分かっておらず、陥没した胸を治す方法も手術が最も有効とされています。
胸の陥没の度合いが軽度であれば必ずしも手術が必要なわけではありませんが、重症となると心肺機能の低下などを起こすため、手術も視野に入ってくるでしょう。
症状・生活への支障・手術後の後遺症などをあらかじめしっかりと把握しておき、万が一お子様などに違和感を覚えた場合には、専門の医療機関を受診しましょう。