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「エボラ出血熱の致死率」は型によっては90%?後遺症・予防法も医師が解説!

 公開日:2025/12/01
「エボラ出血熱の致死率」は型によっては90%?後遺症・予防法も医師が解説!

エボラ出血熱はかつてニュースなどでも報道された伝染病で、記憶のある方も多いのではないでしょうか。最近では報道されることもなくなって忘れてしまった人もいるかもしれません。 現代の世界では新型コロナウイルスによるパンデミックが問題となっているため、エボラ出血熱が現在でも収束せず問題になっている地域があります。 新型コロナウイルスによる感染と同様、エボラ出血熱は感染が収束していない病気です。グローバル社会となった現代では他人事ではない病気といえるでしょう。

※この記事はメディカルドックにて『「エボラ出血熱」に感染すると現れる症状・致死率はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

エボラ出血熱の致死率について

カーテン

エボラ出血熱の致死率はどのくらいですか?

エボラ出血熱による致死率は、これまでの感染状況や行われた医療的処置から推測することができます。こうした推測から、エボラウイルスの種類と感染者に対して提供される医療レベルによって、致死率が変わることがわかってきています。
データ的に致死率は25〜90%の範囲で変化しますが、おおむね50%程度です。ウイルスの種類による致死率のデータは、ザイール型が致死率約90%、スーダン型が致死率は約50%となっています。なお死に至る場合の症例では、発症後約1週間で死亡することが多いというデータがあります。

後遺症が残ることはありますか?

エボラ出血熱の後遺症として報告されている症状は、関節痛視力障害聴力障害などがみられます。
この他にも頻尿・頭痛・倦怠感・筋肉痛・記憶喪失・ぶどう膜炎などの症状が報告されています。

エボラ出血熱はワクチンで予防できますか?

エボラ出血熱に対してのワクチンは、現時点で確立されたものはありません。ただし臨床試験の段階に入っています。現在行われているものは3種類のエボラワクチンの臨床試験です。ただし、現時点ではその効果や安全性の問題が懸念されている状況でもあります。
3種類のワクチンのうちエボラDNAワクチンは、単独使用では効果が低いと思われているワクチンです。そのため他のワクチンと併用する必要性があるとされています。またアデノウイルスベクターを用いたエボラワクチンでは、十分な効果を発揮するために大量のウイルスを培養する必要があるようです。
そのためワクチン製造の効率化が課題となっています。もう1種類の水疱性口炎ウイルスベクターを用いたエボラワクチンでは、生ワクチンとして接種するために接種による副反応が問題となっているようです。それぞれの課題を克服し、副反応の可能性を抑え安全性を高めた効果的なエボラワクチンの開発が完了すれば、ワクチンでの予防が可能になります。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

エボラ出血熱は、今の日本では報道されることが少なくなりました。それによってかつての病気だと思われる方が少なくないかもしれません。それは現在、日本での感染者がいないことにも起因していると考えられます。しかしアフリカの中央部をはじめとする各国で、感染の心配があります。
感染のニュースが報道されなくなったことで、関心が薄くなってしまっていることは仕方ないのかもしれません。それでも人類の敵といえるウイルスはまだ数多く存在するということも覚えておいてほしいものです。

編集部まとめ

建物 エボラ出血熱の現状は、現在の日本ではあまり知られることがない病気といえるかもしれません。新型コロナウイルスの感染がパンデミックとなり数年が経ちましたがいまだに収束に至っていません。 そういった状況ゆえにインフルエンザも懸念される感染症ですが、新型コロナの影響が大きくて関心が薄れてしまったように思われます。 関心がなくてもウイルスの脅威は去ったわけではありません。新型コロナウイルスではワクチンが開発されましたが、エボラ出血熱ではいまだ試験段階です。 ワクチンや治療薬の開発は非常に待たれるところです。それはやがて感染が拡大してしまうという恐れを予防するためにも期待したいところです。

この記事の監修医師

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