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「下壁心筋梗塞」の症状・原因はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/02/28
下壁心筋梗塞の症状と原因

下壁心筋梗塞という病気は、心臓の左室底部に当たる下壁と呼ばれる場所で起こる心筋梗塞のことです。主に冠動脈が詰まることによって下壁心筋梗塞が発症します。

心筋梗塞という病気は一刻も早く病院を受診し、治療を行う必要があるものです。治療までに時間がかかってしまうと、取り返しのつかない結果を招くことになりかねません。

下壁心筋梗塞という病気を通して心筋梗塞が起こる原因や症状などをみていきましょう。

※この記事はMedical DOCにて『「下壁心筋梗塞」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

下壁心筋梗塞の症状と原因

胸を押さえる男性

下壁心筋梗塞はどんな病気ですか?

下壁心筋梗塞は心筋梗塞の一種です。横隔膜の上、心臓の左室の底部に当たる部分を下壁といい、この範囲で起こる梗塞なので下壁心筋梗塞と呼んでいます。なお下壁心筋梗塞は、急性下壁心筋梗塞とも呼ばれています。
心筋梗塞は日本人の死亡原因の第2位といわれる病気です。突然死の原因にもなる危険な病気なので、発症したら迅速な処置を施す必要があります。

下壁心筋梗塞の特徴はありますか?

下壁心筋梗塞は心臓を養うための血管である冠動脈に起こる動脈硬化によって、心臓に血液が十分に行き渡らなくなり、その結果として心臓の筋肉が壊死していく状態です。
こうした急性心筋梗塞の1つである下壁心筋梗塞は、重篤な心臓の伝導障害低血圧を合併しやすいという特徴があります。
こうした特徴をもつことから、病気は早期に発見し、迅速な処置と治療を行わなければ命を落としてしまいます。発症早期の心筋梗塞を迅速に発見するために最も有用とされるのは、心電図による検査です。心電図に現れる波形記録には、下壁心筋梗塞の特徴的なST間隔の上昇がみられます。

主な症状を教えてください。

下壁心筋梗塞を含む心筋梗塞では、胸が痛むという症状があります。狭心症でも胸の痛みを感じますが、狭心症と違うのは心筋梗塞での胸の痛みは激しく、その激しい痛みが20分以上続くということです。
心筋梗塞で感じる痛みは締め付けるような痛みで、主に左胸部で感じますが、左肩・首・下あご・みぞおちといった部分でも痛みを感じることがあるでしょう。痛み以外に胸が押し潰されそうな苦しみを伴うこともあります。
この発作後、数時間経つと痛みが引く場合もあるでしょう。しかしこれは発作が収まったのではなく、細胞の壊死が始まり痛みの感覚がなくなっている可能性があります。
壊死の範囲が広がっていくと、呼吸困難・血圧低下・意識障害という症状が現れてくるでしょう。この時点までくると一刻の猶予もありません。迅速な処置が必要です。

下壁心筋梗塞の原因を教えてください。

下壁心筋梗塞の原因は冠動脈の動脈硬化です。高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病や喫煙習慣によって、血管が変性し動脈硬化が生じます。
動脈硬化になってしまうと血管内の内壁に傷がつき、そこへコレステロールなどが沈着して粥腫(じゃくしゅ)という瘤ができます。粥腫によって血管内が狭くなり、さらに粥腫が破綻して血栓ができることで急激に血流が低下し、心筋梗塞を発症してしまうのです。

編集部まとめ

ガッツポーズをする医師
下壁心筋梗塞は心筋梗塞の一種であり、日本人の死亡原因の第2位という恐ろしい病気です。

その原因となる動脈硬化を引き起こす元となっているのが、生活習慣病やストレスといわれています。

生活習慣病やストレスというものは、現代社会において誰でも抱えるような問題のひとつともいえるのではないでしょうか?それだけ心筋梗塞は身近な病気といえるのかもしれません。

しかし動脈硬化は生活を見直し、ストレスを軽減させれば防ぐことができるものです。それによって心筋梗塞も予防できます。まずはできることから見直してみましょう。

この記事の監修医師

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