「腹壁瘢痕ヘルニアの治療」に手術は必要?治療法を医師が解説!
公開日:2025/11/25

腹壁瘢痕ヘルニアとは開腹手術や腹部の外傷の跡に、立ち上がったり咳をしたりという何らかの理由によって腹圧がかかり、大きく膨らんでしまう状態のことをいいます。
腹壁瘢痕ヘルニアは腹部の手術をした場合の合併症として知られていて、開腹手術後10年で約1割の人が発症するといわれています。
ヘルニアという病気は、本来あるべき位置から臓器が脱出または突出してしまう症状です。もし開腹手術を受けた人で腹壁瘢痕ヘルニアが気になる方は参考にしてみてください。
※この記事はメディカルドックにて『「腹壁瘢痕ヘルニア」の症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
目次 -INDEX-
腹壁瘢痕ヘルニアの治療法

腹壁瘢痕ヘルニアは手術は必要ですか?
腹壁瘢痕ヘルニアは自然に治る病気ではありません。手術による治療は必要です。
特に、稀ではあるものの嵌頓の状態になってしまうと命に関わる危険を伴います。嵌頓にならないとしても、手術をしない場合は、痛みを伴うようになる・腹部の出っ張りが大きくなってくる・見た目が気になってくる・緊急手術が必要になるなどの弊害が時間の経過とともに多くなっていくでしょう。
腹壁瘢痕ヘルニアは開腹手術を受けたことによって発症する合併症であるため、再び手術を受けることに気が引ける人もいらっしゃるかもしれませんが、手術による治療でなければ完治しません。
特に、稀ではあるものの嵌頓の状態になってしまうと命に関わる危険を伴います。嵌頓にならないとしても、手術をしない場合は、痛みを伴うようになる・腹部の出っ張りが大きくなってくる・見た目が気になってくる・緊急手術が必要になるなどの弊害が時間の経過とともに多くなっていくでしょう。
腹壁瘢痕ヘルニアは開腹手術を受けたことによって発症する合併症であるため、再び手術を受けることに気が引ける人もいらっしゃるかもしれませんが、手術による治療でなければ完治しません。
腹壁瘢痕ヘルニアはどのような治療法で治りますか?
腹壁瘢痕ヘルニアを治すために必要な治療法は、手術を受けることです。現時点では手術以外の治療法はありません。自然治癒することはなく、手術を受けない場合は症状を悪化させる可能性はあっても改善はしないでしょう。
これまでの手術では直接皮膚を切開して腹壁を再縫合したり、メッシュによって補強したりする手術が主流でした。しかしこれらの方法では細菌感染の恐れや再発の恐れがあります。そこで近年では腹腔鏡を使用した手術やロボット手術などの方法が選択されるようになってきました。
これらの手術は感染のリスクが少ない・疼痛が少ない・入院期間が短いというメリットがありますが、その反面手術時間が長い・高度癒着の場合に開腹に移行する可能性がある・保険診療の適用範囲外(ロボット手術)といったデメリットもあります。
これまでの手術では直接皮膚を切開して腹壁を再縫合したり、メッシュによって補強したりする手術が主流でした。しかしこれらの方法では細菌感染の恐れや再発の恐れがあります。そこで近年では腹腔鏡を使用した手術やロボット手術などの方法が選択されるようになってきました。
これらの手術は感染のリスクが少ない・疼痛が少ない・入院期間が短いというメリットがありますが、その反面手術時間が長い・高度癒着の場合に開腹に移行する可能性がある・保険診療の適用範囲外(ロボット手術)といったデメリットもあります。
腹壁瘢痕ヘルニアになったら入院は必要ですか?
腹壁瘢痕ヘルニアの治療には手術が不可欠です。また、腹壁瘢痕ヘルニアでの手術ではどの手術方法を選択できるとしても入院は必要になるでしょう。
従来行われている直接皮膚を切開して腹壁を再縫合する手術やメッシュによって補強する手術では、入院期間が長くなります。一方近年より行われるようになった腹腔鏡やロボットによる手術では入院期間が短くなります。
もし腹壁瘢痕ヘルニアの治療で手術を選択できるのであれば、それぞれの手術方法によるメリット・デメリットを確認しておきましょう。
従来行われている直接皮膚を切開して腹壁を再縫合する手術やメッシュによって補強する手術では、入院期間が長くなります。一方近年より行われるようになった腹腔鏡やロボットによる手術では入院期間が短くなります。
もし腹壁瘢痕ヘルニアの治療で手術を選択できるのであれば、それぞれの手術方法によるメリット・デメリットを確認しておきましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします
腹壁瘢痕ヘルニアはそのほとんどが開腹による手術の合併症になります。開腹による手術を受ける場合は、多少なりとも腹壁瘢痕ヘルニアを発症してしまう可能性があるでしょう。だからといって本来治すべき病気に対して手術を拒絶することは当然ながらおすすめできません。
腹壁瘢痕ヘルニアは手術によって治癒する病気です。しかし自覚症状がない場合は手術をせず放置を考えてしまうかもしれません。実際そのような人もいるのですが、年月を経ていけば徐々にリスクが発生し、最終的には手術を選択することになる可能性もあります。なるべく悪化させる前に治療しましょう。
腹壁瘢痕ヘルニアは手術によって治癒する病気です。しかし自覚症状がない場合は手術をせず放置を考えてしまうかもしれません。実際そのような人もいるのですが、年月を経ていけば徐々にリスクが発生し、最終的には手術を選択することになる可能性もあります。なるべく悪化させる前に治療しましょう。
編集部まとめ

腹壁瘢痕ヘルニアは開腹手術後に発症する病気です。ようやく病気が治ったと思った後で、腹部に力を入れた際にお腹が膨らんできたら最初は驚くことになるかもしれません。
また膨らんだ腹部のあたりが痛むことで、手術による後遺症と思われる場合もあるでしょう。これが腹壁瘢痕ヘルニアによる症状とわかったらある意味ホッとするかもしれません。
とはいえ、腹壁瘢痕ヘルニアは放置して良い病気ではありません。腹壁瘢痕ヘルニアと診断されたら医師に相談し、手術を検討しましょう。