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「神経性やせ症」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2025/03/21
神経性やせ症の症状と原因

神経性やせ症は摂食障害の一種で、一般的には拒食症という呼称でも知られています。

食欲不振で食べられないのではなく、やせていることへの執拗なこだわりから過度の食事制限などの行動に及び、心身の疾患に発展する病気です。

自分の体に対するイメージの歪みや肥満への恐怖心、著しい低体重などの心理的、身体的な症状がみられ、悪化すると社会生活を営めなくなることもあります。

ここでは神経性やせ症の症状や原因について解説しています。

自分の意思で治すことが困難な病気なので、周囲の人が早期に異変に気づき適切なサポートができるよう、本記事をお役立てください。

伊藤 直

監修医師
伊藤 直(医師)

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所属:平成かぐらクリニック院長 メンタルアシストプログラム総責任者、一般社団法人 健康職場推進機構理事長、医療法人社団 平成医会 理事

著書:精神科医が教える3秒で部下に好かれる方法

※この記事はMedical DOCにて『「神経性やせ症」の症状・原因・診断基準はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

神経性やせ症の症状と原因

サラダを食べる女性

神経性やせ症とはどのような病気ですか?

神経性やせ症は通常は若い年代の女性に発症する病気で、摂食障害の一種です。やせていることに対する過度の執着から食べ物にとらわれつつも食べることへの抵抗心があり、やせ続けているのに食事制限を続けてしまいます。
更には自分が食行動に関して問題を抱えていることを否定する傾向があり、正面から治療に向き合うのが難しいといった特徴も見られます。低体重が大幅に、または急激に進行した場合は生命を脅かす恐れもあるので、十分な注意が必要です。

神経性やせ症にはどのような症状がありますか?

神経性やせ症の症状には軽度且つ一過性で収まるケースと、重度な症状で病気の状態が長引くケースがあります。初期段階では食事内容や体重を微妙に気にする程度ですが、やせていくに連れて体重への囚われや不安が強くなります。
症状が進行しても自分は問題を抱えていないという心理状態から、周囲の助言や治療を拒否して減量をつづけてしまい、少しでも体重が増えると自分を責めるなど、身体面だけではなく心理的な症状が現れることも特徴です。
過度にやせ衰えるまでは食欲もあり活動的で、約30〜50%の患者が過食をしたり、嘔吐や下剤などで意図的な排出行為をしたりする他、体重への囚われから過度な運動をすることもあります。やせ衰えて重度の栄養不良状態になるとすべての器官が影響を受けることになり、急激に、または大幅に体重が減少すれば生命にも危険を及ぼしかねません。

神経性やせ症の原因は何でしょうか?

神経性やせ症の明確な原因はわかっておらず、女性であること以外に危険因子はないといえますが、文化社会的要因・心理的要因・生物学的要因から発症しやすい人の傾向や発症の背景がみてとれるでしょう。文化社会的要因としては飽食の時代におけるやせ願望や肥満に対する蔑視、女性の社会進出といった背景が想定され、社会的に中流に属している人が発症しやすいといった傾向もあります。
また、心理的要因としては完璧主義・自己中心的といった性格や、自律性・自尊心が低い、自分の身体に対するイメージの歪み、家族間の問題等が考えられ、生物的要因としては、遺伝や脳機能の変化などが挙げられます。

編集部まとめ

ハート
神経性やせ症はやせていることへの執着に起因する現代ならではの病気です。

ルックスへのこだわりや健康的な食生活の基準は人それぞれですが、自分の中に偏った価値観が芽生えたら、一歩引いて考えてみることが必要かもしれません。

このような病気の存在を知ることも予防につながりますが、異変を感じたら早めに医師に相談するようにしましょう。

また、心理的なバイアスにより自力で治すことが難しく、周囲のサポートが非常に重要だということも、この病気の治療においては大切なポイントです。

この記事の監修医師

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