「化膿性脊椎炎」の治療法や治療期間はご存知ですか?【医師監修】

化膿性脊椎炎について、あまり聞き馴染みのない病気だと思います。整形外科領域では代表的な感染症の1つです。
化膿性脊椎炎は背骨にあたる脊椎に細菌が感染して、炎症を引き起こす病気です。痛みや発熱などさまざまな症状が出現します。
最悪の場合、重篤な後遺症や死亡する可能性があるため注意が必要な病気です。
しかし早期から適切な対応をすることで、治療できる病気でもあります。
本記事では症状・検査・治療ついて解説します。化膿性脊椎炎に対する正しい知識を身につけ対峙していきましょう。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
※この記事はMedical DOCにて『「左腰が痛む」原因は?おしりも痛む・しびれる症状も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
目次 -INDEX-
化膿性脊椎炎の治療
どのような検査で診断されるのでしょうか?
- 血液検査
- レントゲン
- CT
- MRI
血液検査では炎症の値をチェックして細菌の感染状況を確認します。レントゲンでは、化膿性脊椎炎の初期段階では感染の状態を確認することができません。炎症が進行すると骨の破壊などがみられるようになります。しかし高齢者の場合は、骨粗鬆症や圧迫骨折との違いに注意が必要です。
CTは骨の破壊による変形などを確認します。発症から2週間程度で骨の破壊がみられるケースが多いです。MRIは化膿性脊椎炎の診断で最も有効な診断方法です。しかしMRIでも感染初期に関しては感染兆候が画像に写らないことがあります。
化膿性脊椎炎は感染初期では、なかなか確定診断がつきにくい病気です。診断まで時間がかかることもあります。慢性的に経過している場合は熱が出ないことや、腰痛の症状しかなく受診しても原因がわからないことが、診断に時間を要する原因です。
治療方法を教えてください。
- 点滴治療
- 手術
- 安静
- リハビリ
点滴治療では抗生剤の点滴を行います。ここで大切なのは、炎症が起こっている細菌の種類を特定することです。種類を特定することで細菌に合わせた抗生剤点滴が行えます。
細菌を特定するために血液培養などを実施します。治療には原因となる細菌を明らかにすることが必要です。手術は抗生剤点滴が効かない方・神経症状が進行している方・骨が破壊されて背骨が不安定になった方などが適応になります。
化膿性脊椎炎は基本的に点滴治療で保存的に治療を進めることが治療方針となります。大切なことは違和感に気づいたら早期に受診することです。安静・リハビリについては後から詳細にお話します。
化膿性脊椎炎の治療期間を教えてください。
長期間の抗生剤点滴が必要になります。また注意点として耐性菌といった抗生剤点滴が効かない細菌が原因の場合は治療が長くなる傾向があります。
化膿性脊椎炎に安静が必要な理由を教えてください。
しかし安静が保てない状態が続くと、骨を新しく作る作用に比べ骨を壊す作用が強く働いてしまいます。このような状態が続くと、更なる症状の悪化や治療期間が長くなる恐れがあります。
そのため安静を保つことが必要です。また安静に伴い、身体にコルセットを装着することもあります。コルセットを使用することで身体を固定し、脊椎への負担を減らすことができます。
編集部まとめ
化膿性脊椎炎は感染が原因で起こる病気です。痛み・発熱・神経症状などのさまざまな症状を引き起こし治療が遅れた場合は後遺症が残る危険性もあります。
血液検査・レントゲン・CT・MRIなどで診断しますが、感染初期はなかなか診断がつかないこともあります。
早期診断・早期治療が完治するための鍵です。疑わしい症状がある場合は、早期に医療機関を受診しましょう。適切な治療を受けることで完治できる可能性は高くなります。
感染しないために免疫力を高め、感染しにくい身体を作ることが大切です。「自分の身体は自分で守る」を合言葉に免疫力を高める工夫や感染予防に取り組みましょう。
参考文献