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「化膿性脊椎炎」の症状・原因・発症しやすい人の年齢層はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/02/28
化膿性脊椎炎の症状と原因

化膿性脊椎炎について、あまり聞き馴染みのない病気だと思います。整形外科領域では代表的な感染症の1つです。

化膿性脊椎炎は背骨にあたる脊椎に細菌が感染して、炎症を引き起こす病気です。痛みや発熱などさまざまな症状が出現します。

最悪の場合、重篤な後遺症や死亡する可能性があるため注意が必要な病気です。

しかし早期から適切な対応をすることで、治療できる病気でもあります。

本記事では症状・原因・治療・なりやすい年齢について解説します。化膿性脊椎炎に対する正しい知識を身につけ対峙していきましょう。

※この記事はMedical DOCにて『「化膿性脊椎炎」の症状・原因・発症しやすい年齢層はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

化膿性脊椎炎の症状と原因

医師

化膿性脊椎炎はどのような病気でしょうか?

化膿性脊椎炎は他の臓器の感染もしくは直接、細菌が脊椎にある椎体や椎間板に入り込み、感染して炎症が発生する病気のことです。炎症が椎体や椎間板に波及してしまうと骨が壊れる危険もあり、さまざまな症状を引き起こすことがあります。

症状を教えてください。

特徴的な症状は以下の通りです。

  • 発熱
  • 背中の痛み
  • 脊椎(背骨)の変形
  • 感覚障害
  • 運動麻痺

感染症により炎症が起こり、身体が細菌と戦うため熱が出ます。しかし中には、慢性的に経過が進行して熱が出ない方もいます。そのような場合は診断がつきにくいため注意が必要です。感染した部位により痛みの位置が変わり、腰や胸などさまざまです。
炎症が脊椎にある椎体や椎間板に波及し骨が破壊されてしまうと、脊椎の変形・感覚障害・運動麻痺が起きてしまいます。また発症の初期には痛みにより動けなくなることも多くみられます。

発症する原因を教えてください。

主な原因は血行性感染です。血行性感染とは別の場所で起きた感染症による細菌が、血管に入り込み血液の流れによって別の部位に移動し、新たな感染症を引き起こすことです。
て別の部位に移動し、新たな感染症を引き起こすことです。感染源は尿路感染症・腎盂腎炎・胆のう炎・皮膚や軟部組織の感染など、さまざまな感染症の病気が挙げられます。原因になる細菌は緑膿菌や黄色ブドウ球菌などさまざまです。
また化膿性脊椎炎の危険因子として尿道カテーテル・血管のカテーテル・糖尿病・透析があります。カテーテルなどを長期間入れていることによる感染や針を刺す際に細菌が侵入する可能性があるため危険因子として挙げられます。
そのため免疫力が低下しており、感染しやすい方は注意が必要です。感染が全身へ拡大してしまい、敗血症になり多臓器不全になる危険性もあります。また例としては少ないですが、腰の手術後や検査による直接感染も原因となります。

化膿性脊椎炎になりやすい年齢を教えてください。

主な好発年齢は40〜50歳代です。生活習慣病の糖尿病などの影響により中高年が多い傾向にあります。しかし日本の高齢化に伴い、高齢でも発症する患者数が増えてきています。
高齢になるとカテーテルを留置する機会が多くなることや、免疫力が低下して感染症を引き起こす確率が高くなることが、化膿性脊椎炎発症の原因です。

編集部まとめ

手洗い
化膿性脊椎炎は感染が原因で起こる病気です。痛み・発熱・神経症状などのさまざまな症状を引き起こし治療が遅れた場合は後遺症が残る危険性もあります。

血液検査・レントゲン・CT・MRIなどで診断しますが、感染初期はなかなか診断がつかないこともあります。

早期診断・早期治療が完治するための鍵です。疑わしい症状がある場合は、早期に医療機関を受診しましょう。適切な治療を受けることで完治できる可能性は高くなります。

感染しないために免疫力を高め、感染しにくい身体を作ることが大切です。「自分の身体は自分で守る」を合言葉に免疫力を高める工夫や感染予防に取り組みましょう。

参考文献

この記事の監修医師

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