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「脂漏性皮膚炎」の検査・治療法はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/03/17
脂漏性皮膚炎の治療方法と診断

脂漏性皮膚炎は、皮膚表面に赤みや黄色い瘡蓋(かさぶた)がうろこ状にできる皮膚炎です。症状が顔の目立つ場所にできるため、心理的につらい状態になる方も多くいらっしゃいます。

幼児の場合は自然治癒しますが、成人の場合は生活環境の様々な要因が影響しています。治療が長期化することがあり、この疾患の難しい側面です。

今回は、脂漏性皮膚炎の検査方法や診断基準、治療方法について紹介していきます。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

※この記事はMedical DOCにて『「脂漏性皮膚炎」を発症すると現れる症状・予防法はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

脂漏性皮膚炎の治療方法と診断

診察をする医師

検査方法と診断について知りたいです。

基本的には問診で、皮膚の症状で診断をします。今の具体的な症状の他、生活環境において脂漏性皮膚炎の原因となるようなことが無いかも大切な判断要因です。
他の類似した皮膚炎との判別が難しい場合は、皮膚の一部を採取して顕微鏡で菌の状態を確認します。

脂漏性皮膚炎の診断基準は?

脂漏性皮膚炎の明確な診断基準はありませんので、実際に起こっている症状に基づいて判断していきます。また、類似した疾患が複数あるため、その疾患との鑑別が肝心です。
類似した疾患としては、接触性皮膚炎・アトピー性皮膚炎・頭部白癬(しらくも)・膠原病(こうげんびょう)などがあります。診断の中で重要なことは、症状が現れている身体の場所です。
脂漏性皮膚炎は全身の脂漏部位、特に顔の鼻唇溝(びしんこう)いわゆる、ほうれい腺に症状が出る特徴があります。そのため、類似する疾患であるアトピー性皮膚炎との鑑別については、鼻唇溝に炎症があるかどうかが見極めになります。
類似する疾患と区別するために、症状がある部位は全てみせるようにすることが大切です。診断を受ける際には医師に、皮膚炎の具体的な場所と症状を詳しく伝えることで診断が円滑に進みます。

脂漏性皮膚炎の治療方法を教えてください。

治療方法は次のようなことがあげられます。

  • ステロイド外用薬や抗真菌外用薬の湿布
  • ビタミンB2またはB6の摂取
  • 抵真菌配合シャンプー
  • 生活リズムの改善

乳児の場合は、成長とともに自然治癒します。そのため、基本的には薬の処方はせずに、症状のある場所を石鹸で洗って清潔に保つようにします。洗うときはこすらずに、泡を使って丁寧に洗うことがポイントです。
成人型の場合は、炎症を抑えるためのステロイド外用薬と、マセラチア菌を抑えるための抗真菌外用薬を使用します。
基本的には抗真菌外用薬の湿布となりますが、炎症の強く出ている患部は弱めのステロイド外用薬を使用することで対処できます。尚、頭皮の場合は抵真菌剤配合シャンプーを使うと有効です。また、ビタミンB2やB6を積極的に摂取すると、マセラチア菌の栄養源となる皮脂の分泌を減らせます。
ステロイド外用薬によって炎症は治まりますが、成人の脂漏性皮膚炎は再発しやすいことが厄介です。原因因子を発生しない生活環境作りが治療のポイントとなります。

編集部まとめ

青空
脂漏性皮膚炎はシャンプー荒れや乾燥肌との区別がつかずに、中々気がつかないこともあります。

気がついた場合は早期に対策を取ることが肝心です。

生活リズムや食生活の乱れをみつめ直して改善する、また、ストレスを軽減すること自体が、現実的には大変で難しいことかもしれません。

しかし、中長期的にみて、毎日できることから一つずつやってみることが大切です。

脂漏性皮膚炎の治療は、薬より養生という言葉にもあるように、普段からの予防の心がけこそに、最善の良薬が存在しているといえます。

毎日の予防策に費やす努力は、薬の効果よりも絶大な効果が得られるのです。

この記事の監修医師

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