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「流涙症を放置するリスク」は何かご存知ですか?予後を医師が解説!

 公開日:2025/11/12
「流涙症を放置するリスク」は何かご存知ですか?予後を医師が解説!

流涙症という言葉を聞いたことがない方も多いのではないでしょうか。流涙症とは、目から涙が溢れて止まらなくなる状態のことをいいます。 涙が溢れるといっても、常に流れ出てしまうことで人前に出るのが恥ずかしくなったり常にハンカチが欠かせなくなったりなど、日常生活に様々な支障をきたします。 目は口程に物を言うという様に、目は人の心を表す器官であり、コミュニケーションにおいても目の健康は重要です。 今回は、流涙症の予後とリスクについて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

※この記事はメディカルドックにて『「流涙症」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

流涙症の予後とリスク

自然を感じる女性

流涙症は治る病気ですか?

先述の通り、涙が溢れる原因となっている場所によって対処方法は様々ですが、点眼薬で治るものもありますが、手術をしないと治らない場合もあります。
症状にもよりますが、手術や薬の対処で治癒は可能です。

自然治癒することもあるのでしょうか?

乳児の流涙症は先天鼻涙管閉塞といい、生まれつき鼻涙が塞がっている状態をいいます。
乳児の鼻涙管は鼻腔へ排出部分が膜で覆われているため流動閉塞の症状がみられることがあり、成長につれて鼻腔への開口部が開通し、1歳ぐらいまでに治ることが多いです。中には点眼薬や目頭をマッサージすることで治癒することもあり、自然治癒しない場合は、涙道へブジーを通して開通させる手術が必要です。
後天鼻涙閉塞・逆さまつ毛・分泌性流涙の場合は自然治癒することはなく、適切な治療を施さないと治癒することはありません。

すぐに病院へ行けない場合、市販の目薬は使用できますか?

分泌性流涙の中で、ドライアイのみ市販薬の服用で症状の改善が期待できます。涙と同じ成分で出来た点眼薬から、ビタミンやタウリンが入って疲労に効果があるものなど様々な特徴の点眼薬が市販で手に入れられます。
ドライアイ以外の症状の場合は市販の目薬で治癒することはないので早めに病院で受診しましょう。

流涙症を放置するリスクを教えてください。

流動閉塞を放置しておくと細菌感染が起こり、目ヤニが出るようになります。更に悪化すると涙嚢炎になり、最悪の場合失明の恐れも出てくるので早めの治療が重要です。
逆さまつ毛の場合は目が充血やゴロゴロした状態を放置しておくと、結膜炎角膜炎を起こしている可能性が高くなります。
更に放置すれば視力低下や角膜混濁といって透明な角膜が白く濁り、角膜の移植が必要になる場合もありますので放置せず、早めに受診しましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

涙を司る器官は小さくて細かい様々な器官から成り立っており、どれか一つでも悪化してしまうと連鎖的に涙嚢炎にまで悪化したり治療に時間がかかってしまいます。早めに病院を受診すれば比較的簡単な手術で治療が可能です。
逆さまつ毛や先天性流動閉塞などは産まれつきであることもあり、中には手術をしないことによって何年も苦悩を続けている方もいます。早めに処置することでストレスが軽減され、煩わしさから解放された日常が始まります。
流涙症の症状がある場合は早めに受診して適切な処置を受けましょう。

編集部まとめ

PCの前で笑顔の女性 今回は、流涙症をご紹介しました。原因によって症状は様々ですが、涙が流れ続けるストレスだけでなく、涙嚢炎になると激しい痛みも伴います。 目は顔の中でも相手への印象を決めるパーツの1つであり、目の周りが腫れたり、目やにが常についていたりする状態は精神的なダメージにも繋がります。 涙が出るだけで痛みがない場合でも、失明や涙嚢炎へと進行しないように気が付いたら早めに受診しましょう。

この記事の監修医師

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