「壊死性筋膜炎」の初期症状はご存知ですか?原因や感染経路も解説!【医師監修】
公開日:2025/03/01

壊死性筋膜炎という病気をあまり聞いたことがないという人が多いでしょう。
壊死性筋膜炎は数時間〜数⽇の間で急速に進⾏し、適切な治療が⾏われなければ命に関わる重症感染症です。
これと似た病気で蜂窩織炎がありますが、どちらも皮膚が赤く熱感を持つためそのような自覚症状があった場合には早急な治療が必要になります。
本記事では、壊死性筋膜炎の原因・症状・初期症状・感染経路などを解説します。注意が必要な病気のため、ぜひ最後まで目を通してみてください。
※この記事はMedical DOCにて『「壊死性筋膜炎」は命に関わる?気になる原因や症状を医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
壊死性筋膜炎とは?
壊死性筋膜炎はどのような病気でしょうか?
壊死性筋膜炎とは、筋肉の上にある浅層筋膜に細菌が侵入し、感染することで急速に壊死が拡大する軟部組織感染症です。
軟部組織感染症とは、水虫・おできのような表面に限局された感染症・蜂窩織炎・壊死性筋膜炎のように皮下組織・筋層まで感染するものの総称をいいます。軟部組織感染症は幅広く、原因菌や病巣の深さによって鑑別されます。
壊死性筋膜炎は浅層筋膜まで感染が広がり、周囲の皮下血管が閉塞することで皮膚の梗塞や壊死が生じてしまうため注意が必要な病気です。壊死するスピードも1時間に2mmと急速に進展するため、迅速な治療が必要不可欠です。
成人に多く発症しますが、小児・新生児でも発症する場合があります。
軟部組織感染症とは、水虫・おできのような表面に限局された感染症・蜂窩織炎・壊死性筋膜炎のように皮下組織・筋層まで感染するものの総称をいいます。軟部組織感染症は幅広く、原因菌や病巣の深さによって鑑別されます。
壊死性筋膜炎は浅層筋膜まで感染が広がり、周囲の皮下血管が閉塞することで皮膚の梗塞や壊死が生じてしまうため注意が必要な病気です。壊死するスピードも1時間に2mmと急速に進展するため、迅速な治療が必要不可欠です。
成人に多く発症しますが、小児・新生児でも発症する場合があります。
初期症状を教えてください。
壊死性筋膜炎は、高熱・局所の激しい疼痛・浮腫性の淡い紅斑が初期症状です。その後時間が経過するとともに紫斑・水疱・潰瘍・壊死と進展していきます。
そして更に時間が経つと血圧低下によるショック状態・血液検査での炎症反応(CRP)の急激な上昇・白血球数の増加もしくは消費による減少・凝固系の異常による播種性血管内凝固症候群が出現し、場合によっては多臓器不全になるというとても危険な状態に陥ります。
この他に、凝固因子の枯渇による凝固機能障害も出現します。特に晩期では凝固機能障害のほうが治療を難渋する原因となるのです。
凝固機能障害播種性血管内凝固症候群とは、小さな血栓が体中のあちこちに出現し細い血管を詰まらせてしまう病気です。その影響で、体中の臓器に十分な血液が行き届かなくなることで臓器の機能が低下する多臓器不全に陥ってしまうのです。
そして更に時間が経つと血圧低下によるショック状態・血液検査での炎症反応(CRP)の急激な上昇・白血球数の増加もしくは消費による減少・凝固系の異常による播種性血管内凝固症候群が出現し、場合によっては多臓器不全になるというとても危険な状態に陥ります。
この他に、凝固因子の枯渇による凝固機能障害も出現します。特に晩期では凝固機能障害のほうが治療を難渋する原因となるのです。
凝固機能障害播種性血管内凝固症候群とは、小さな血栓が体中のあちこちに出現し細い血管を詰まらせてしまう病気です。その影響で、体中の臓器に十分な血液が行き届かなくなることで臓器の機能が低下する多臓器不全に陥ってしまうのです。
発症する原因は何でしょうか?
壊死性筋膜炎は何かしらの外傷で発症するケースが多いですが、稀に原因が全く分からないこともあります。
ほかにも切り傷・火傷・虫刺されなどの軽い傷でも発症します。基礎疾患を持っている人が発症しやすいというデータがありますが、その疾患は糖尿病・肝障害・悪性腫瘍などです。
基礎疾患で糖尿病を持っている人も発症しやすいですが、コントロール状態のよし悪しで変わります違います。コントロールされた糖尿病の場合であれば起こりにくいです。しかし、コントロールが非常に悪い糖尿病は発症しやすい上、発症した場合あっという間に重症化します。
主な原因菌は数種類あり、A群β溶血性レンサ球菌・緑膿菌・黄色ブドウ球菌・ウェルシュ菌・腸内細菌(大腸菌・肺炎桿菌など)が挙げられます。その中でA群β溶血性レンサ球菌属菌・ウェルシュ菌に関しては、基礎疾患を持っていない健常者でも発症するため注意が必要です。
A群β溶血性レンサ球菌はショックや多臓器不全など重篤な全身症状を引き起こすだけでなく、病気の進行も早いため注意が必要な細菌です。
ウェルシュ菌は汚染度の高い外傷で感染することが多く、消化管にいる常在菌ですが全ての菌が影響を及ぼすわけではありません。
ほかにも切り傷・火傷・虫刺されなどの軽い傷でも発症します。基礎疾患を持っている人が発症しやすいというデータがありますが、その疾患は糖尿病・肝障害・悪性腫瘍などです。
基礎疾患で糖尿病を持っている人も発症しやすいですが、コントロール状態のよし悪しで変わります違います。コントロールされた糖尿病の場合であれば起こりにくいです。しかし、コントロールが非常に悪い糖尿病は発症しやすい上、発症した場合あっという間に重症化します。
主な原因菌は数種類あり、A群β溶血性レンサ球菌・緑膿菌・黄色ブドウ球菌・ウェルシュ菌・腸内細菌(大腸菌・肺炎桿菌など)が挙げられます。その中でA群β溶血性レンサ球菌属菌・ウェルシュ菌に関しては、基礎疾患を持っていない健常者でも発症するため注意が必要です。
A群β溶血性レンサ球菌はショックや多臓器不全など重篤な全身症状を引き起こすだけでなく、病気の進行も早いため注意が必要な細菌です。
ウェルシュ菌は汚染度の高い外傷で感染することが多く、消化管にいる常在菌ですが全ての菌が影響を及ぼすわけではありません。
感染経路を教えてください。
壊死性筋膜炎の感染経路は2パターンあり、1つは皮膚の感染や外傷によって、皮下組織から筋層にまで感染が広がるパターンです。例えば基礎疾患で糖尿病を患っている人が足の壊疽や潰瘍から深部に感染が広がってしまうことや、ふくらはぎなど下腿に外傷を負うことで深くまで感染が広がることが考えられます。
もう1つは経口によって侵入した菌が血液を介して全身に広がり、局所の皮膚で症状が出現するパターンです。例えば咽頭炎などの細菌感染症が全身に波及しながら水疱・紫斑・壊死が生じることがあり、外傷と違って目に見えないため注意が必要です。
もう1つは経口によって侵入した菌が血液を介して全身に広がり、局所の皮膚で症状が出現するパターンです。例えば咽頭炎などの細菌感染症が全身に波及しながら水疱・紫斑・壊死が生じることがあり、外傷と違って目に見えないため注意が必要です。
編集部まとめ
ここまで壊死性筋膜炎の病態・症状・治療法などについて解説しました。壊死性筋膜炎は、発症する確率は低いですが、発症すると命に関わるため注意が必要な病気です。
皮膚の紅斑や局所の疼痛だと蜂窩織炎のように違う病気の可能性もありますが、どの病気であっても早期に診断・治療することが重要です。
発症予防のために正しい傷の対処法を知り、基礎疾患のコントロールをしっかり行いましょう。気になることがあれば早めに医療機関で受診してください。