「日本脳炎」を疑う場合何科に受診すれば良い?検査法・治療法も医師が解説!
公開日:2025/12/30

日本脳炎は日本を含む東アジア・東南アジア・南アジア・西太平洋地域にみられる感染症です。日本では患者数が激減していますが、世界的には2年から15年の間隔で流行しています。
ここでは発症すると脳に大きなダメージを受ける可能性がある日本脳炎の診断方法などを紹介しましょう。
※この記事はメディカルドックにて『「日本脳炎」を発症すると現れる初期症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
目次 -INDEX-
日本脳炎の診断方法と治療方法

日本脳炎が疑われる場合、何科を受診すれば良いのでしょうか?
日本脳炎かもしれないと感じても何科を受診したらいいのか迷ってしまいます。発熱や頭痛などの症状だけであれば一般的には内科を受診します。このとき日本脳炎の可能性があることを医師に伝えることが大切でしょう。
医師の臨床診断で日本脳炎が疑われる場合は神経内科もしくは感染症科がある施設を受診します。子どもの場合は、小児科を受診しましょう。
医師の臨床診断で日本脳炎が疑われる場合は神経内科もしくは感染症科がある施設を受診します。子どもの場合は、小児科を受診しましょう。
日本脳炎が疑われる場合の検査方法を教えてください。
日本脳炎ウイルスを血液や髄液から検出することはとても難しいため、髄液の中にあるIgM抗体を検出する方法が行われています。また、冷蔵保存された血清から赤血球凝集抑制(HI)抗体の抗体価を調べ、急性期と回復期の抗体価を確認するという検査方法があります。
日本脳炎の診断を行うための検査は国立感染症研究所と一部の地方衛生研究所などや一部の民間企業で実施してもらう必要があるでしょう。
日本脳炎の診断を行うための検査は国立感染症研究所と一部の地方衛生研究所などや一部の民間企業で実施してもらう必要があるでしょう。
どのように診断確定を行いますか?
髄液から直接的にウイルスを検出することは発症初期でなければ難しいのですが、髄液の中のIgM抗体検出は脳の中枢神経の中でウイルスが増殖していることを示唆しています。そのため髄液からIgM抗体が検出されるかを確認する検査を行います。
また、血清中の赤血球凝集抑制(HI)抗体の急性期と回復期のペア血清の抗体価の検査結果が4倍以上であれば、日本脳炎に感染している確率がかなり高いでしょう。ただ専門機関へ検体を送って検査するため検査結果がわかるまでには数日かかることもあります。そのため、急激に症状が悪化する場合などは臨床診断に頼っています。
また、血清中の赤血球凝集抑制(HI)抗体の急性期と回復期のペア血清の抗体価の検査結果が4倍以上であれば、日本脳炎に感染している確率がかなり高いでしょう。ただ専門機関へ検体を送って検査するため検査結果がわかるまでには数日かかることもあります。そのため、急激に症状が悪化する場合などは臨床診断に頼っています。
治療方法を教えてください。
日本脳炎を治療するための特効薬は開発されていません。発症した症状に合わせてさまざまな薬を使用することで症状を抑制する対症療法がおもな治療方法といえるでしょう。とくに高い熱と痙攣のコントロールが重要です。
また脳浮腫がみられるときはステロイドなどを使用します。
また脳浮腫がみられるときはステロイドなどを使用します。
編集部まとめ

日本脳炎は予防接種の普及により日本国内では患者数が減少している感染症です。ただ日本脳炎ウイルスを保有している豚が多くおり、感染する可能性があることも事実です。
日本脳炎は昔の感染症ではなく、いつだれがかかってもおかしくない身近な感染症であるということを覚えておくことが大切といえるでしょう。
日本脳炎の特効薬は開発されていませんが、ワクチンを接種することで日本脳炎ウイルスに感染することを防ぐことができる感染症でもあります。
忘れずにワクチン接種をし、感染媒体である蚊に刺されないように注意しましょう。