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「日本脳炎」は過去の病気ではない?高熱などの初期症状や感染経路も医師が解説!

 公開日:2025/12/26
「日本脳炎」は過去の病気ではない?高熱などの初期症状や感染経路も医師が解説!

日本脳炎は日本を含む東アジア・東南アジア・南アジア・西太平洋地域にみられる感染症です。日本では患者数が激減していますが、世界的には2年から15年の間隔で流行しています。

ここでは発症すると脳に大きなダメージを受ける可能性がある日本脳炎の特徴・症状を紹介しましょう。

※この記事はメディカルドックにて『「日本脳炎」を発症すると現れる初期症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

「日本脳炎」を発症すると現れる初期症状はご存知ですか?医師が監修!

体温を計る子ども

日本脳炎はどのような病気ですか?

日本脳炎ウイルスに感染して発症すると脳が破壊され、神経系にさまざまな障害が出てきます。ただウイルスに感染しても軽症もしくは発症しない場合が多く、発症するのは100人から1000人に1人くらいです。
日本脳炎は発症するまでの潜伏期間が6日から16日、発症すると発熱などの症状がみられるでしょう。また、世界的には子どもの発症が多くみられており、子どもの死亡率が高くなっています。
日本脳炎ワクチンの接種により患者数は減少していますが、発症した後に完治する割合は3分の1程度と30年前とほとんど変わらず油断できない感染症であることは確かでしょう。

日本脳炎は過去の病気ではないのですか?

日本で日本脳炎を発症する人はワクチン接種が行われているため激減しています。ただ患者数は減少していますが、毎年夏に実施されている日本脳炎ウイルスを保有している豚の数の調査では地域によって保有率が80パーセントを超えています。
日本脳炎に罹患するリスクが低くなっている状況ではないため、日本脳炎は過去の病気ではないのです。

感染経路を教えてください。

日本脳炎ウイルスは人から人に感染することはないので日本脳炎の患者を隔離する必要はありません。
日本脳炎は日本脳炎ウイルスに感染した豚や牛・鳥類などの血液を吸った蚊(おもにコガタアカイエカ)に人が刺されることで感染します。とくに豚は日本脳炎ウイルスの保有量が多く媒介となるコガタアカイエカが好む動物です。日本脳炎ウイルスへの感染を防ぐためにも蚊に刺されないようにすることが大切です。

日本脳炎ではどんな症状が出ますか?

日本脳炎ウイルスを保有した蚊に刺されると必ず発症するわけではありません。ただ発症した場合、数日間38度から40度以上の高い熱が出る・頭痛・嘔吐の前のむかつき(悪心)・吐き気・めまいなどの症状がみられます。
その後急速に病状が進行し、首がこわばる・光に過敏になる・さまざまな意識障害などがみられるようになるでしょう。
脳が大きなダメージを受けてしまうためとくに上半身のマヒなど中枢神経の障害が見られるようになります。子どもの場合は、痙攣(けいれん)を起こすこともあります。

初期症状はありますか?

初期症状としては38度から40度以上の高熱・頭痛・めまい・嘔吐・悪心などがみられるでしょう。子どもでは腹痛や下痢などの胃腸障害をともなうことがあります。

編集部まとめ

薬と注射
日本脳炎は予防接種の普及により日本国内では患者数が減少している感染症です。ただ日本脳炎ウイルスを保有している豚が多くおり、感染する可能性があることも事実です。

日本脳炎は昔の感染症ではなく、いつだれがかかってもおかしくない身近な感染症であるということを覚えておくことが大切といえるでしょう。

日本脳炎の特効薬は開発されていませんが、ワクチンを接種することで日本脳炎ウイルスに感染することを防ぐことができる感染症でもあります。

忘れずにワクチン接種をし、感染媒体である蚊に刺されないように注意しましょう。

この記事の監修医師

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