1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 「仙腸関節痛」の症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?【医師監修】

「仙腸関節痛」の症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/02/28
仙腸関節痛 原因と症状

厚生労働省が実施した国民生活基礎調査(2019年)有訴者率(病気やけが等で自覚症状を持つ者の割合)によると、腰痛は男性では第1位、女性では肩こりに次ぐ第2位でした。

しかし、一言で腰痛といっても様々で、部位・疾患によって治療法・リハビリ内容も変わってきます。
仙腸関節痛というのは聞きなれない病名かもしれませんが腰痛の一種であり、あなたが今抱えている痛みは、もしかするとそれに分類されるかもしれません。

こちらでは仙腸関節痛の症状・原因・なりやすい人についてもご紹介致しますので、ご自身の症状と照らし合わせてご覧ください。

※この記事はMedical DOCにて『「仙腸関節痛」になると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

プロフィールをもっと見る
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

仙腸関節痛の原因と症状

腰痛の女性

仙腸関節痛はどのような病気でしょうか?

仙腸関節は骨盤の骨である仙骨と腸骨の間にある関節のことで、その周囲は強い靭帯によって結ばれており、通常でもわずか数mmの動かない可動域の小さい関節です。この関節は上半身と下半身を繋ぐ重要なもので、両者の衝撃を吸収する役割があります。
その仙腸関節に様々な原因で負荷がかかって運動制限などの障害が起こり、痛みが出てくることを仙腸関節痛といいます。陽痛における仙腸関節障害(疼痛・炎症含む)の割合は15~30%を占めているという報告もあり、私たちにとって身近な病気です。

どのような症状がありますか?

仙腸関節痛の主な症状は以下の通りです。

  • 仰向けで寝ることができない
  • 痛みのある方を下にして寝ることができない
  • 長い時間椅子に座れない(正座では楽なことが多い)
  • 痛みのある方の臀部を浮かせて座ってしまう
  • 動き始め・歩き始めが痛く、徐々に楽になる

痛みの部位としては、仙腸関節を中心とした腰部・臀部・鼠径部(足の付け根)・下腿(膝から足首まで)・足部など幅広く、また痛みだけではなく下肢に痺れが出現することもあります。そしてこの病気の特徴は、症状が片側に出現するということです。
これらの症状は、腰椎の疾患(腰部脊柱管狭窄症・腰椎椎間板ヘルニアなど)や坐骨神経痛と似ているため、注意が必要になります。両者の大きな違いを挙げるとすると、腰椎疾患では立位や歩行で痛みが増強して座位になると軽減するのに対し、仙腸関節痛は立位や歩行の始めは痛みを伴いますが徐々に落ち着き、逆に座位で痛みが増すということです。

発症する原因を教えてください。

中腰での作業・不用意な動作・同じ動作の繰り返しが続くと、仙腸関節に負荷がかかってきます。すると、関節が緩んだり、靭帯が伸びすぎてしまい、上半身・下半身の衝撃の吸収が上手くいかなくなるのです。そうなることで関節に小さな不具合(ズレ)が生じてしまい、運動制限等の機能障害が起こって痛みが発生する原因になります。

どのような人がなりやすいのでしょうか?

仙腸関節痛は、体幹や股関節周囲の筋力が落ち、骨盤が不安定な状態な人に多くみられます。仙腸関節障害の性別・年齢分布をみてみると、10代の若者から80代の高齢者まで幅広く、女性は男性の2倍以上となっています。
妊娠・出産後を経験した女性に多い腰痛だといわれてきましたが、実は老若男女に起こりえる病気であることがお分かりいただけると思います。

編集部まとめ

相談する医師
仙腸関節痛について詳しくまとめました。仙腸関節痛を引き起こしてしまう原因をしっかり知っておくことで、発症を防ぐことも十分にできます。

日常生活における動作の1つ1つをもう一度見直して、痛みの原因を取り除いていきましょう。

また症状が出た場合は、どこにでもある腰痛だと放置せずに早めに受診し、早期診断・適切な治療を受けて慢性化・難治化しないようにしましょう。

この記事の監修医師

注目記事

S