「脊髄損傷・脊椎損傷の後遺症」は何ができなくなる?リハビリも医師が解説!
公開日:2025/12/03

脊髄損傷と脊椎損傷の違いをご存じですか。 この2つの病名は似た名称をしているので、どのような違いがあるのか詳しくは知らないという方もいるのではないでしょうか。 脊髄と脊椎は別の部位を指す言葉であり、脊髄損傷と脊椎損傷の症状・予後・治療方法・リハビリの方法などは大きく異なります。 こちらでは、脊髄損傷と脊椎損傷の予後について詳しく解説していきます。
※この記事はメディカルドックにて『「脊髄損傷・脊椎損傷」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
目次 -INDEX-
脊髄損傷・脊椎損傷の予後
脊髄損傷・脊椎損傷は完治しますか?
脊髄損傷は神経の損傷であり、完全麻痺の場合には元には戻らず予後は期待できないのが一般的でしょう。不全麻痺の場合、脊髄の圧迫が残っている場合には手術で圧迫を取り除きます。
一方で脊椎損傷の場合は安静にしていることで骨がくっつき、完治することがほとんどです。骨がうまくくっつかない場合には痛みが長引き、日常生活に支障をきたすこともあります。
一方で脊椎損傷の場合は安静にしていることで骨がくっつき、完治することがほとんどです。骨がうまくくっつかない場合には痛みが長引き、日常生活に支障をきたすこともあります。
脊髄損傷・脊椎損傷の後遺症を教えてください。
脊髄損傷の後遺症は損傷部位によって異なるため一概にはいえませんが、多くの場合運動麻痺や感覚障害が残ります。さらに、呼吸に関する筋肉が麻痺してしまった場合には呼吸障害が残り、人工呼吸器が必要になるケースもあるでしょう。
また、排泄障害が残る場合もあり、自分で排泄ができなくなったり、排泄したいという感覚がなくなってしまったりする可能性もあります。そのような場合は尿を排出させるために尿道カテーテルを使用したり、オムツを使用したりすることが必要です。
いずれにせよ、脊髄損傷の場合には日常生活を1人で行うことができないほどの後遺症が残ることも多く、介護が必要な状態になる可能性が高いでしょう。
一方、脊椎損傷の場合は損傷部位の疼痛や脊椎の変形が後遺症として残る場合があります。強い痛みを原因に寝たきりになってしまうこともあるため、薬やリハビリによる痛みのコントロールが必要です。
また、排泄障害が残る場合もあり、自分で排泄ができなくなったり、排泄したいという感覚がなくなってしまったりする可能性もあります。そのような場合は尿を排出させるために尿道カテーテルを使用したり、オムツを使用したりすることが必要です。
いずれにせよ、脊髄損傷の場合には日常生活を1人で行うことができないほどの後遺症が残ることも多く、介護が必要な状態になる可能性が高いでしょう。
一方、脊椎損傷の場合は損傷部位の疼痛や脊椎の変形が後遺症として残る場合があります。強い痛みを原因に寝たきりになってしまうこともあるため、薬やリハビリによる痛みのコントロールが必要です。
リハビリはどのように行いますか?
脊髄損傷のリハビリは合併症予防、日常生活動作の獲得を目的に行われます。脊髄損傷の場合、合併症として床ずれ・関節拘縮・肺炎・尿路感染などが起こりやすいため注意が必要です。
合併症を予防するために、床ずれや肺炎が起こりにくいよう姿勢を変えるポジショニングや、療法士が手や足を動かし関節が固まらないようにするリハビリを行います。
日常生活を送るには、残った身体の機能を最大限活用することが大切です。動かすことができる部位の筋肉のトレーニングや日常生活動作の練習を行います。身体の状態によっては車椅子生活となる場合もあるので、車椅子の操作を練習することもあるでしょう。
一方で脊椎損傷の場合には、安静により筋力低下が生じることがあるため、筋力トレーニングがリハビリの中心となります。特に高齢者の場合には、筋力が低下しやすく転ぶ危険性が高まるため、安静が解除されたあとのリハビリが重要です。
転倒予防のために、筋力トレーニングだけではなく歩行練習やバランス練習などを行います。
合併症を予防するために、床ずれや肺炎が起こりにくいよう姿勢を変えるポジショニングや、療法士が手や足を動かし関節が固まらないようにするリハビリを行います。
日常生活を送るには、残った身体の機能を最大限活用することが大切です。動かすことができる部位の筋肉のトレーニングや日常生活動作の練習を行います。身体の状態によっては車椅子生活となる場合もあるので、車椅子の操作を練習することもあるでしょう。
一方で脊椎損傷の場合には、安静により筋力低下が生じることがあるため、筋力トレーニングがリハビリの中心となります。特に高齢者の場合には、筋力が低下しやすく転ぶ危険性が高まるため、安静が解除されたあとのリハビリが重要です。
転倒予防のために、筋力トレーニングだけではなく歩行練習やバランス練習などを行います。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
脊髄損傷と脊椎損傷の違いについて解説しました。脊椎損傷も脊髄損傷も、どちらも避けたい大きなケガです。
不慮の事故が原因の場合には防ぐことが難しいですが、転倒は予防することができるため普段から予防を心掛けて動作を行ってください。
特に高齢者の場合には足の筋肉が弱ってしまうことで転倒しやすくなっているので、日ごろから適度な運動を心掛け、転倒しないよう気を付けましょう。
不慮の事故が原因の場合には防ぐことが難しいですが、転倒は予防することができるため普段から予防を心掛けて動作を行ってください。
特に高齢者の場合には足の筋肉が弱ってしまうことで転倒しやすくなっているので、日ごろから適度な運動を心掛け、転倒しないよう気を付けましょう。
編集部まとめ
交通事故や転倒などによって、脊髄損傷や脊椎損傷が起こることがあります。
脊髄損傷と脊椎損傷は似た名前ですが、脊髄は神経、脊椎は骨(背骨)の損傷であり、症状・予後・治療方法などが異なるため注意が必要です。
背骨の中の神経が損傷する脊髄損傷が起こってしまうと四肢を動かせなくなってしまう可能性もあるため、日ごろから転倒などの予防を心掛けましょう。