「手根管症候群を放置するリスク」はご存知ですか?予防法を医師が解説!
公開日:2025/11/11

手首にまつわる疾患は、携帯電話を使うのが当たり前になってから慢性病になりつつあります。手根管症候群はそんな手首にまつわる疾患の1つです。 手根管症候群はキーボードをよく使ったり、手首を酷使したりといった仕事の方が多い疾患です。よく腱鞘炎と混同されますが、何が違うのでしょうか? この記事では手根管症候群のリスクと予防方法について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
※この記事はメディカルドックにて『「手根管症候群」ってどんな症状?発症した際にやってはいけないことも解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修理学療法士:
中原 義人(理学療法士)
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社会医療法人慈恵会聖ヶ丘病院所属
肩腱板再建術に用いられる吸収性生体材料に関する生体力学的研究 臨床雑誌整形外科 54巻7号 (2003年7月)
肩腱板再建術に用いられる吸収性生体材料に関する生体力学的研究 臨床雑誌整形外科 54巻7号 (2003年7月)
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手根管症候群のリスクと予防方法
手根管症候群によって後遺症などが残る場合はありますか?
- 保存療法で症状が改善されるほど軽症であれば後遺症は特に残りません。ただしすでに圧迫が重度になり、正中神経が傷つけられたり、母指球部分が筋萎縮を起こしていたりすると後遺症が残るリスクが高いです。
- 具体的には事故・ケガによる手根管症候群の場合です。これによりすでに正中神経の一部が切断やすり減りを起こしていると、手のひらの知覚障害・痺れ・疼痛が後遺症として残ります。
- また、親指を立てる動作(サムズアップ・OKサインなど)が難しくなることがあります。
手根管症候群を放置するリスクを教えてください。
- 手根管症候群の症状を自覚した場合は、手首を酷使する作業をやめて安静にすれば症状の進行は和らぐでしょう。それでも続くようなら受診をする必要がありますが、急激に症状が進行することはありません。
- しかし症状を放置したまま手首を酷使し続けると、さらに正中神経を圧迫し、より深刻なダメージに発展する場合があります。
- 手術が必要になったり、後遺症が残ったりする場合があるため、手のひらの痺れを感じたら手首を安静にするようにしてください。
手根管症候群の予防方法があれば知りたいです。
- 特発性の場合、予防方法はありません。ただし、作業などが原因による手根管症候群の予防は可能です。
- 仕事柄手首をよく使ったり、スポーツで手首を酷使したりといった発症リスクが高い方は、意識的に手首を休ませることが大切です。
- 重いものを持つ場合の手首への負担も避けましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
- 普段仕事で手首を使う方や手のひら側の手首を圧迫してしまいがちの方には、手根管症候群がとても身近な疾患になります。
- 手首を酷使してしまったなと思ったらまず手首を休ませましょう。
- またリストパッドや姿勢の改善でも予防は十分にできます。ただし、特発性の場合手根管症候群は予防ができません。
- もし手首を酷使するなどの原因がないのに手のひらの痺れが起きる場合は、必ず医師の診察を受けるようにしてください。
編集部まとめ
手根管症候群は、特発性のものと手首を酷使するもしくは外傷性のものがあります。手首を酷使することが原因の手根管症候群は、手首を適度に休ませることで予防できます。
特発性のものは、女性ホルモンや透析療法が原因の場合が多いです。そのため、特に仕事で手首を酷使していないのに手のひらの痺れがある場合は様子を見て受診してください。
いずれの場合も軽症であれば保存療法で症状が改善されます。もし手術を行う場合でも、内視鏡手術になるため日帰りになることが多いです。
だからといってあまり放置せず、手首は酷使しすぎないようにしましょう。たまには手首を休ませることが大切です。