「アルツハイマー型認知症」はどんな検査をして診断されるのか?治療法も医師が解説!
公開日:2025/12/28

アルツハイマー型認知症とは、認知症の中のひとつであり、脳の一部が萎縮していく過程で起きる病気です。
進行速度は遅いですが、もの忘れを起こすなど日常生活に支障を来たすこともある場合もあります。
身近な病気ですが、具体的な症状などご存じでない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、アルツハイマー型認知症の検査と治療方法について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
※この記事はメディカルドックにて『もし家族が「アルツハイマー型認知症」を発症したら、あなたならどのように接しますか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
アルツハイマー型認知症の検査方法と治療方法

アルツハイマー型認知症の診断基準について教えてください。
- この病気の診断には、問診などをおこなうことで、認知機能・記憶・実行機能についてどの程度の状態なのかを確認して判断を行います。
- 口頭での簡単な質問をもとに判断し、その質問の結果が一定の水準を下回ると病気と診断される流れです。
- また、同時に脳の萎縮がみられるかも確認します。萎縮がみられることも含めて、この病気であるかを診断するのです。
検査方法が知りたいです。
- 診断基準についてご紹介しましたが、具体的な検査方法は次のようなものを行います。
- 問診
- 認知機能検査
- 医学的検査
- 画像検査
- 先述したように口頭での簡単な質問を行います。これは、神経心理学検査とも言われる方法で、認知機能・記憶・実行機能などを調査する内容です。
- また、問診については、家族にもいくつか質問が行われます。健康状態・日常生活を行う能力・人格の変化などが主な質問事項です。詳細な状況や変化の内容を伝えることが重要です。
- 認知機能検査とは、記憶能力・問題解決能力・注意力・計算力・言語能力などがどの程度保たれているかを確認する検査方法となります。
- 医学的検査とは、血液検査・尿検査・内分泌検査・心電図検査などのことです。他の原因や病気の可能性も考えられるため、これらの検査も同時に行います。
- 画像検査では、脳の萎縮状態・脳梗塞・脳腫瘍が生じていないかを確認する方法です。
治療方法にはどのようなものがありますか?
- 病気の根本的な治療方法は、現在確立されてはいません。しかし、進行を遅らせるための治療方法としては、次のようなものがあります。
- 薬物療法
- 非薬物療法
- 薬物療法としては、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬・NMDA受容体拮抗剤といった2種類の薬が効果的であるといわれています。神経物質の減少・破壊を防ぐ効果があるため、中核症状の進行を遅らせることが可能です。
- 非薬物療法としては、運動療法・回想法・レクリエーション・音楽療法などが挙げられます。脳の活性化につながり、症状が緩和できると考えられているのです。
編集部まとめ

アルツハイマー型認知症は、日常生活への影響が大きい重い病気です。万が一、初期症状が確認できた場合は、早く医療機関を受診しましょう。
また、病気が進行してしまった場合は、家族でサポートや介護などを楽しく行って、進行を遅らせるようにしましょう。
そのためにも、予防方法や治療方法などの正しい知識を身につけておくことは大切です。大切な家族がかかった場合に備え、楽しく生活してもらえるように支えましょう。