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「ギランバレー症候群」の治療法はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/03/15
ギランバレー症候群 診断と治療

ギランバレー症候群とは、風邪・胃腸炎などのウイルス感染をきっかけに起こる病気です。進行性の病気なので、重症化すると命に危険が及ぶこともあります。

ギランバレー症候群は、体を動かす神経・感覚を伝える神経が障害される病気で、手足の力の入りにくさ・しびれなどの症状から見つかるケースが多い病気です。

そんな誰にでも起こりうる、ギランバレー症候群の症状・原因について解説します。ギランバレー症候群の診断方法・治療方法・気をつけることも紹介しています。

五藤 良将

監修医師
五藤 良将(医師)

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防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。

※この記事はMedical DOCにて『「ギランバレー症候群」の症状・原因はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

ギランバレー症候群の診断と治療

診察する医師

ギランバレー症候群の診断はどのように行いますか?

  • まずは問診・診察を行います。問診・診察からギランバレー症候群が疑わしい場合は、血液検査・髄液検査・神経伝導検査などの検査を行い総合的に診断します。
  • 中には、大きな病院でないと受けられない検査もあるので、入院して詳しく検査するのが一般的です。
  • 【問診・診察】
  • 「1ヶ月前から数日前までに体調を崩していないか」「いつ頃からどんな症状が現れたか」などを問診します。これまでの生活と比べて、少しでも変わったことがあればしっかり伝えましょう。
  • 【血液検査】
  • 血液検査を行う理由は、ギランバレー症候群にみられる抗ガングリオシド抗体の有無を調べるためです。ギランバレー症候群のうち60%で、抗ガングリオシド抗体が検出されます。
  • 抗ガングリオシド抗体は、ギランバレー症候群の原因となるウイルスにくっついている糖鎖という物質に対する抗体のことです。この抗ガングリオシド抗体が、自己免疫性の末梢神経を障害していると報告されています。
  • 【脳脊髄液検査】
  • 脳脊髄液検査は、ベッド上で横向きに寝て、局所麻酔下で行います。腰椎から穿刺して、脳脊髄液を採取します。
  • 脳脊髄液検査の目的は、脳脊髄液に含まれる蛋白と細胞数を検査するためです。蛋白細胞乖離といって、蛋白は増加して細胞数は変わらないことが、ギランバレー症候群の診断に繋がります。
  • 【神経伝導検査】
  • 神経伝導検査は、皮膚の上から刺激を加えて末梢神経の伝わり方を記録する検査です。ギランバレー症候群では、末梢神経の伝導速度が低下します。神経の伝わり方を調べるために、筋電図検査を行う場合もあります。

治療法を教えてください。

  • ギランバレー症候群の治療は、免疫グロブリン大量療法もしくは血漿交換療法を行います。
  • 基本的には、身体への負担が少ない免疫グロブリン大量療法が第一選択です。免疫グロブリン大量療法は、1日に1回、5日間連続で点滴します。
  • それでも症状が改善しない場合は、2回目の免疫グロブリン大量療法をすることも選択肢の一つです。また、入院加療中の患者さんが、機能回復・社会復帰できるようにリハビリも行います。

必ず入院が必要な疾患と聞きましたが…

  • ギランバレー症候群は入院が必要です。
  • 理由はいくつかありますが、ギランバレー症候群は進行性で、重篤な症状が出現した時に手遅れにならないようにするためです。
  • また、ギランバレー症候群の主な治療である免疫グロブリン大量療法は、5日間連続で点滴投与されます。
  • 点滴後に起こる副作用の管理・治療の効果判定をする必要もあり入院加療となります。

編集部まとめ

聴診器と住宅
ギランバレー症候群は、自己免疫性の末梢神経障害です。風邪・胃腸炎などのウイルス感染をきっかけに、手足のしびれ・筋力低下で発症し、進行性の経過をたどります。

ギランバレー症候群は、誰にでも起こりうる病気で、重症化すると命に関わります。ギランバレー症候群を予防するため、手洗い・うがいなどの感染対策を徹底しましょう。

入院して治療を受ければ、4~6週以降に回復し、元の生活に戻れる病気です。今回の記事を読んで、ギランバレー症候群に当てはまる症状がある方は、お近くの脳神経内科の受診をおすすめします。

この記事の監修医師

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