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「小脳変性症を発症した後のリスク」は何かご存知ですか?予後について医師が解説!

 公開日:2025/11/20
「小脳変性症を発症した後のリスク」は何かご存知ですか?予後について医師が解説!

小脳変性症は、小脳の神経に障害がおきて、手足がスムーズに動かせなくなる病気です。

現在、国内には約3万人の患者さんがいると報告されています。

遺伝性と非遺伝性の2種類に分類され病気の原因も複数判明していますが、症状を根治する治療方法は現状ではなく、主に対症療法での治療を進めています。

現代では運動機能を補うことで病状を悪化させるリスクを減らし、長く日常生活の質を維持できるようになってきました。

この記事では、小脳変性症後のリスクと日常生活の注意について解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「小脳変性症」の初期症状・余命はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

脊髄小脳変性症発症後のリスクと日常生活の注意

杖をつく高齢者の手

診断後、どのような経過をたどりますか?

  • 病状はゆるやかに進み個人差はありますが、急に悪化することはありません。徐々に症状が進むと、手足が震える・動作が遅くなるなどパーキンソン症状・排泄障害・立ち眩みなどの自律神経障害が現れます。
  • 多系統萎縮症は進行が速いため、発症してから約5年で車椅子が必要な状態となり、約8年後には寝たきりになることがわかっています。
  • 症状が進行しても会話は問題なくできるなど、極度に認知機能への影響は及ぼしません。

発症後のリスクを教えてください。

  • 小脳失調により、歩行中にふらついて転倒するリスクが高まります。転倒して背骨や手足を骨折してしまうと手術が必要になり、そのまま寝たきりの状態になることもあります。
  • そのような転倒リスクを減らすには、運動機能を保持し残った機能を活かし、歩行訓練などのリハビリをしっかり行うことが必要です。
  • 病気が長期間続くと食べ物が飲み込みにくくなる、咳き込むなど嚥下障害を起こしやすくなり、食べ物が気管に詰まり誤嚥性肺炎を発症する恐れがあります。
  • 咳き込む症状がでるときは、食べやすい柔らかい形状にしたり、とろみをつけると飲みこみやすくなり誤嚥を予防できます。

日常生活で変える必要がある部分が知りたいです。

  • 日常生活で立ち上がる動作を行うことが多いトイレや風呂場などの壁に手すりをつけたり、段差をなくしたりバリアフリーにするなど、生活環境を整えて転倒リスクを減らす対策をします。
  • 病気が進行して嚥下障害が起こると、口腔内の食べかすや細菌が気管へ入り誤嚥性肺炎のリスクが高まるため、予防目的での毎日の口腔ケアが大切です。食後に歯磨きやうがいを行い、食べ物の残りかすや細菌を排除することで口腔内を清潔に保ちます。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • 脊髄小脳変性症発症は根本的な治療法がなく、進行は止められないため発症後は運動機能を補うためのリハビリが不可欠です。家族や主治医・ケアマネージャー・専門機関などへ相談して心の負担を和らげ、積極的に病気と付き合っていくことが大切です。
  • 保険を使いデイサービスや訪問リハビリを利用して、自宅で一人でできるリハビリを能力に合わせて行いながら、運動機能や日常生活の質をできるだけ保持していきましょう。

編集部まとめ

メモを取る男性の手元
脊髄小脳変性症とは、平衡感覚や筋肉の緊張を保持して動作をスムーズに行える役割を担っている小脳や脊髄に障害が発生し、運動失調が起こる病気の総称です。

原因には遺伝子の異常が関わっている場合もあり、その遺伝や発症の原因について研究が進んできていますが、まだ不明な点も残されています。

検査は医師が問診・神経生理学検査(脳波)・画像検査(MRI)を行い脊髄小脳変性症の診断をします。

治療は、病状の進行を止める根本的な方法は見つかっていないため、症状を鎮める対症療法を行っているのが現状です。

脊髄小脳変性症発症をすると徐々に運動機能の障害が進行し歩行中に転倒するリスクが高くなってきます。

運動機能を保持するためにリハビリをしたり、家に手すりを取り付けたりするなどの対策を行い、転倒するリスクを減らすことが大切です。

この記事の監修医師

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