【ケーラー病】土踏まずに何があったら受診した方が良い?検査法・治療法も医師が解説!

どこかにぶつけたり転んだりしてケガをした訳でもないのに、子供が足の土踏まずを痛がっていて心配ということはないでしょうか。
その症状はもしかしたら「ケーラー病」という骨の病気の症状かもしれません。
ケーラー病とは、骨端症という小児に起こる骨の病気のひとつに分類されており、子供の骨の成長に伴って発症する病気です。
これを単なる「成長痛」だと放っておくと、痛みが強くなったり歩行が困難になったりする可能性があります。
ここでは、ケーラー病の検査と治療方法について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
※この記事はメディカルドックにて『「ケーラー病」になると現れる症状はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
ケーラー病の検査や治療

ケーラー病が疑われる場合、受診の目安を教えてください。
- 足の痛み、特に土踏まずの部分に持続的な痛みがあること、また足の腫れや熱感があるかどうかも目安のひとつになります。足の親指側のアーチの圧痛が強いことも特徴のひとつです。
- 土踏まずの痛みが続いている場合は、放置せずに整形外科の受診を検討しましょう。整形外科を受診される際は、いつ頃から痛みがあるのか・見た目に変化はないか・歩き方にいつもと違うところがないかなどをあらかじめまとめておくと診察室でも焦らずに医師に説明することができると思います。
検査方法を教えてください。
- まずは足の状態を観察します。甲の部分に腫れや熱感がないかだけではなく骨折・捻挫・皮膚疾患などの他の病気がないかどうかを確認します。
- どの部分が痛むかを確認するための触診も必要です。土踏まずに痛みがありケーラー病が疑わしい場合は、X線検査(レントゲン検査)やCT検査、MRI検査などの画像検査を行い舟状骨の変化を画像で確認します。
- 症状が出ていない方の足と比較して、ケーラー病の画像では舟状骨の扁平化(舟状骨が薄くなる)や硬化(画像上で舟状骨が白くなって見える)が確認でき、これらの情報からケーラー病と診断されます。
ケーラー病の治療方法が知りたいです。
- 治療において一番大切なのは、歩行の際などに土踏まずに過度に体重がかからないようにし舟状骨の安静を保つことです。
- 症状が軽度の場合は、多くは土踏まずに体重がかからないようにするための中敷き(インソール)の使用を検討します。中敷きで体重による負荷を分散させることで痛みの軽減につながります。
- 症状がごく軽い場合は、安静のみの経過観察となることも多いです。痛みのある部分に腫れや熱感を伴う場合はアイシングも良い方法です。重度の場合は膝から下の長さの歩行用ギプスを装着し3~6週間安静を保つ必要があり、その後軽度の場合と同様に中敷きを使用します。
- いずれの場合も激しい運動や長い距離を歩くことは禁止です。症状に応じて早めに適切な治療を行うことで、後遺症を残さずに治癒を目指すことが可能となります。
完治するまでの期間を教えてください。
- ケーラー病は舟状骨が扁平化し硬化してから骨片組織が割れた後、自動的に修復されて治癒していくという経過をたどります。
- 治癒するまでは定期的にX線検査を行い、舟状骨の状態をフォローしていく必要があります。舟状骨が修復され治癒するまでには1年から3年程かかるといわれ、その間は激しい運動や長距離の歩行は禁止です。
- 比較的長期の経過となりますが、継続して状態を確認していくことがとても大切です。医師と相談しながら適切な治療や対処法を選択していくことが重要となります。
編集部まとめ

今回は、小児の骨の病気のひとつであるケーラー病について解説しました。
「成長痛」という言葉は良く聞きますが、ケーラー病は、子供の骨の成長過程で起こる、足の土踏まずを形成する舟状骨に起こる痛みのことです。
発達途上にある骨に繰り返し体重などによる負荷がかかることによって発症するとされています。
土踏まずは、歩く時に地面からの衝撃を和らげるために重要な部分です。そこに痛みがあるために歩行が困難になってしまい、子供の生活に支障が出てしまいます。
多くは数年で後遺症もなく治癒する病気ですが、症状に応じて中敷きやギプスを使用することで痛みを軽減することが可能です。
症状を長引かせないためには、できるだけ早めに整形外科を受診して治療をすることが必要です。
子供が特にケガをしたわけでもないのに足を痛がっている場合は、「成長痛だから」で済ませずに、一度整形外科、あるいは小児整形外科のクリニックなど受診することを検討してみてはいかがでしょうか。