「おたふく風邪」が悪化すると難聴に?大人も感染する”症状と合併症”を医師が解説!

おたふく風邪というと、子どもの頃に罹患するイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
正式名称は流行性耳下腺炎とよばれ、3~6歳の子どもに多く起こる疾患です。
しかし、大人でも罹患する可能性があり、場合によっては合併症を引き起こしたりや後遺症が残ったりするため注意が必要な疾患でもあります。
今回は、おたふく風邪の症状・原因について詳しくまとめました。
※この記事はメディカルドックにて『「おたふく風邪」が重症化するとどうなるかご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属
目次 -INDEX-
おたふく風邪の症状と原因

おたふく風邪はどのような病気ですか?
3歳~6歳…幼児や小学生の低学年の子どもに発症することが多く集団で生活をする、保育園や小学校で流行することが多いです。基本的には軽症で治まりますが、思春期以降の方などは重症化する可能性があります。
合併症の発症や後遺症が残るケースもあるため注意が必要な疾患です。また、ウイルスに感染しても症状が発生しない不顕性感染となるケースもあります。
おたふく風邪の症状を教えてください。
おたふく風邪で起こる腫れは耳下腺に多く見られます。腫れている部分を押す・食べ物を飲み込む際にも痛むことが多いです。発熱もおたふく風邪の症状になります。
症状が強くでるのは発症から48時間ほどです。その後1~2週間ほどで症状がなくなっていきます。感染しても症状がないまま過ぎてしまうケースも少なくありません。
大人でも発症すると聞いたのですが…。
逆に、おたふく風邪に罹ったことがない方がムンプスウイルスに感染した場合は、大人でも発症する可能性が高いです。
また、おたふく風邪の経験があるにも関わらず、発症するケースもあります。この場合、以前に罹った病気がおたふく風邪ではなく、似たような症状がでる風邪ウイルスや暴飲暴食・過労によって免疫が下がり耳下腺が腫れる反復性耳下腺炎だった可能性が高いです。
そのため、お子さんと関わるお仕事をされている方や育児中の方は、おたふく風邪が流行する時期は特に注意が必要になります。
思春期以降のお子さんや大人の方が、おたふく風邪にかかると重症化しやすく、合併症のリスクも心配です。おたふく風邪と思われるお子さんの看病をする際は、ご自身の感染対策をしっかりしましょう。
おたふく風邪が重症化するとどうなりますか?
おたふく風邪で起こる可能性がある合併症は下記の通りになります。
- 無菌性髄膜炎
- 睾丸炎
- 卵巣炎
- 膵炎
- 脳炎
- 難聴
おたふく風邪の合併症で多いのは無菌性髄膜炎です。髄膜炎の場合、首の後ろに痛みがでることもあり症状が強い場合は入院が必要になります。
男性の場合は睾丸炎、女性は卵巣炎も合併症として起こる可能性がある疾患です。難聴もおたふく風邪で起こるケースがあります。
おたふく風邪に罹った際に別の症状が強く現れた場合は早めに医療機関を受診しましょう。
編集部まとめ

おたふく風邪は、ムンプスウイルスの感染によって発症します。耳下腺などの腫れや発熱が主な症状です。お子さんの場合、重症化は少ない疾患になります。
おたふく風邪に罹った場合は、食べられるものを食べて安静にして自宅で療養をしてください。家族の方はうつらない様にしっかり予防をしましょう。
また、思春期以降の方がおたふく風邪に罹ると重症化や合併症のリスクが高くなるため、罹患歴のない方は可能であればワクチンを接種しておくと安心です。
お子さんの場合も、重症化や難聴などのリスクを下げるためにも適正年齢になったら早めにワクチンを接種しておくことをおすすめします。
参考文献