「低アルブミン血症における食事の注意点」は何かご存知ですか?医師が解説!
公開日:2025/11/19

低アルブミン血症とは、血液中に存在しているタンパク質のアルブミンが正常値よりも低くなる症状です。
低アルブミン血症は普段聞きなれないかもしれませんが、さまざまな原因によって引き起こされます。
日頃むくみや急な体重の増加などありませんか?気になるむくみや急な体重の増加は、低アルブミン血症を引き起こしているサインかもしれません。
今回は、低アルブミン血症の予後と注意点について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
※この記事はメディカルドックにて『「低アルブミン血症」の原因・症状・兆候はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
低アルブミン血症の予後と注意点

低アルブミン血症は完治しますか?
- 肝硬変・ネフローゼ症候群・低栄養などの原因疾患に対する適切な治療を行うことで、低アルブミン血症の改善はみられます。
- ただし、肝硬変は進行してしまうと治療を行っていても十分な効果を得ることができません。
- 低アルブミン血症を引き起こさないためにもバランスの良い食事や適度な運動など、日頃の生活習慣の改善を意識していくことが重要です。
食事で注意することを教えてください
- 低栄養にならないように毎日の食事に気をつけ、アルブミンを増やすために良質なタンパク質を摂ることが最善です。タンパク質は20種類以上のアミノ酸で構成されています。
- 人の体内で合成できない必須アミノ酸と呼ばれている9種類の栄養素は、食事から摂る必要があります。また、良質なタンパク質は必須アミノ酸とアミノ酸スコアが高いです。
- 以下の食材はとくにアミノ酸スコアが高いとされていますので、積極的に摂取しましょう。
- 肉類や魚類
- 乳製品
- 卵類
- 大豆製品
- とくに高齢者になると、食事量が低下する傾向にあるのでタンパク質摂取量も低くなりやすく、低栄養から低アルブミン血症を引き起こす可能性が高いです。意識して毎日の食事に良質なタンパク質を取り入れましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
- 人の体内において主要なタンパク質であるアルブミンが低下してしまうことは、危険な状態です。全身のむくみや血圧低下などの症状を一過性と考えず、少しでも違和感を感じるようなら早急に医療機関を受診し精密検査を行いましょう。
- 低アルブミン血症を引き起こすには、さまざまな原因疾患があります。原因疾患の治療を行わないと、低アルブミン血症の改善は難しいでしょう。
- また、低栄養にならないためにも毎日の食事も意識して摂りましょう。アルブミン値を正常値から落とさないためにも、良質なタンパク質の摂取は重要です。
- 最低でも年に1回は血液検査を行い、アルブミン値を知っておくとよいでしょう。
編集部まとめ

低アルブミン血症は、原因疾患の治療を行っていくことが改善に繋がります。
肝硬変など、原因疾患によっては治療が遅れたことにより効果が得られない場合もあるので、早期受診が重要となるでしょう。
また、タンパク質摂取量の低下が原因で低栄養となり、低アルブミン血症を引き起こす場合もあります。
タンパク質を含んだ栄養バランスのよい食事を心がけるなど、生活習慣の改善も低アルブミン血症を引き起こさないために重要となります。
今一度生活習慣を見直し、そもそも低アルブミン血症の原因疾患を引き起こさないように気をつけていきましょう。