「潜水病」を診断する4つの検査法はご存じですか?治療法も医師が解説!
公開日:2025/12/29

潜水病とは、海中から陸に浮上する際に起こる病気のことであり、減圧症ともいわれる病です。
仕事で潜水を伴う方や、アウトドアでスキューバダイビングをする方は、押さえておいた方が良い知識です。
この記事では潜水病について、検査法・治療方法などを詳しく解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「潜水病」の後遺症・症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
五藤 良将(医師)
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防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。
潜水病の診断基準と治療方法

診断基準を教えてください。
- さまざまな症状が生じることをご紹介しましたが、診断基準は自覚症状の有無や問診などによって判断します。
- 専門の医療機関にかかると、まずは問診と自覚症状のチェックを行います。その症状の内容や度合いの確認を行うのです。
- 主な自覚症状としては、頭痛や皮膚の痛み、息が詰まる感覚などが挙げられます。自覚症状として認識しにくい症状もありますが、これらの症状が初期症状として現れやすい傾向です。
- そして、自覚症状と診断所見の結果をもとに、その後どのような検査が必要かを判断します。
- 痛覚や温度の感覚が低下している場合もあるため、ルレット知覚計や氷を用いてこれらの感覚検査を行った上で、詳細な検査内容を決めます。
どのような検査を行いますか?
- 検査方法は、次のような方法です。
- 問診
- 血液検査
- 超音波ドップラー検査
- 画像検査
- まずは、問診により自覚症状の有無や病状の経過・潜水時の状況・急速な減圧があったかなどを確認します。それと同時に、これまでの病歴なども問診を行います。
- 身体の診察も行われ、主に皮膚の状態や神経学的な所見を確認することになるでしょう。
- 血液検査では、ヘモグロビン値・ヘマトクリック値・凝固能などの調査を行います。超音波ドップラー検査では、心臓の静脈内の気泡を確認します。
- 画像検査では、CT検査やMRI検査によって脳や脊髄の異常を確認する内容です。
治療方法を教えてください。
- 治療方法は、再圧治療を行います。再圧治療とは、1気圧以上のチャンバー内で100%の酸素を数時間吸入する方法です。身体の中の酸素濃度を増やすとともに、窒素濃度を減らす効果があります。
- また、一酸化炭素濃度を減らす効果や、気泡の大きさを小さくする効果もあります。軽度の場合でも、受ける治療方法です。
- しかし、この治療方法を受けるには、専用の装置がなければ受けられません。そのため、この治療方法が受けられない場合は、受けられる医療機関に移動する必要があります。
- その際には、100%濃度の酸素を吸入しながら、再圧治療が可能な施設へと移動することとなるでしょう。
編集部まとめ

潜水病は、誰しも発症するリスクのある、身近で恐ろしい病気です。最悪の場合、死に至ることもあります。
しかし、正しい知識を備えて予防できれば、発症リスクは大きく下げることが可能です。
後遺症などを残さないためにも、予防方法や治療方法などをしっかりと押さえましょう。また、万が一異変を感じた場合は、専門の医療機関に相談しましょう。