「妄想性パーソナリティ障害の人」には”何をしない”ことが大事?対処法を解説!

仕事や人間関係・家庭事情などでストレスを感じやすい現代では、精神疾患を抱えている人が年々増えています。
精神疾患は原因に個人差があり治療法もその人に合わせた方法でないと悪化する可能性があるため、改善には長期に渡る努力が必要不可欠です。
その中で今回は、日本人の約5%の人が当てはまるという妄想性パーソナリティ障害の対処法を紹介します。
身近に妄想性パーソナリティ障害の人がいる人や、自分自身がそうかもしれないと感じている人は最後までぜひ目を通して知識を深めましょう。
※この記事はメディカルドックにて『「妄想性パーソナリティ障害」になると感じる症状や原因はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
目次 -INDEX-
妄想性パーソナリティ障害への対処

妄想性パーソナリティ障害の人への対処方法を教えてください。
- 妄想性パーソナリティ障害の人と接する時に、まず1番注意しなければならないのが「否定しない」ことです。
- 前述にもある通り懐疑心や不信感を常に抱いているため、患者本人の意見や考えに対して否定してしまうと関係が悪化してしまいます。
- 更には自分の意見を否定されたことで逆上し攻撃的になる可能性もあります。
- 患者も自分自身のことを理解できずに悩み苦しんでいるので、否定や無理にアドバイスを促すのではなく共感することを意識しましょう。
家族はどのようにサポートすれば良いでしょうか?
- 何か本人が困ってることや悩みを抱えていた場合には、その意見を聴き寄り添うことが大事です。
- しかし家族や恋人など身近に妄想性パーソナリティ障害を患っている人がいると、時には振り回されることも多々あると思います。
- その時に全てを肯定してしまうと今度は自分自身が疲弊してしまうので、何か相談された場合には医療機関への受診の提案なども良いでしょう。
- また医療機関だけでなく、就労に関して悩んでいるのであればハローワークや就労支援などの専門機関もあります。
- 注意点として患者が拒否しているのに、無理に勧めるのは得策ではありません。
- 本人が受診や行動を拒否している場合には、その意見を尊重し相手のペースに任せましょう。焦らないことも治療へ導くにあたって重要なことです。
- また日頃から不信感は強くある反面仕事を通常通りにこなすこともでき、時には手助けもしてくれます。
- そういった時は素直に相手の良い部分を褒め伸ばすことで、行動に良い変化が現れるかもしれません。
- 本人のできることに関して深く関与せず、感謝の気持ちを示すことでやる気を引き出すように関わることも接する上で大事なポイントです。
最後に、読者へメッセージがあればお願いします。
- 妄想性パーソナリティ障害の治療にはどれだけ周りの人が疾患や患者に対し、理解しているかが重要になります。
- 一方で妄想性パーソナリティ障害を患っている人と関わることで自分も精神的な負担が大きくなっているようであれば、医師・カウンセラー・友達など第三者に相談しましょう。
- 負担が大きい場合には適切な距離を保つことも重要で、自分自身を追い詰めてしまうような精神状態にならないよう注意が必要です。
編集部まとめ

ここまで妄想性パーソナリティ障害の病態や症状・治療法等について紹介しました。
日常生活の中では誰しもがパーソナリティにある程度偏りがありますが、自覚していない妄想性パーソナリティ障害はその影響で一般の人よりも生きづらさを感じています。
妄想性パーソナリティ障害の人だけに言えることではありませんが、精神疾患を患っている人は患者自身が1番症状に対して悩み苦しんでいます。
そのため今回の妄想性パーソナリティ障害に関わらず、精神疾患に対しての基本的な知識や関わり方を知ることは自分を守るだけでなく手助けするためにも重要なことなのです。
相手に共感し理解しようとする姿勢を見せるだけでも、患者自身心が救われた気持ちになります。
どう接したら良いのか分からないからと突き放すのではなく、話を聞いて自分は相手のことを思っているということを伝える意識を持っていただければ、その思いは相手にも伝わります。
また自分自身が妄想性パーソナリティ障害かもしれない時には、専門機関のサポートを受けることで生きづらさが軽減されるかもしれません。
治療には長い時間と「良くなりたい」という強い意志が必要なので、困った時は誰かに相談しながら取り組んでいくことが大事になります。