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「周期性嘔吐症」の症状・原因はご存知ですか?大人・子供それぞれ解説!

 公開日:2025/03/19
周期性嘔吐症とは?

周期性嘔吐症は、周期的に嘔吐・腹痛・頭痛などを繰り返す病気です。患者さんによって症状はさまざまで、小児だけでなく大人も発症します。

ひどい嘔吐や腹痛などを周期的に繰り返すため、本人も家族も不安になることでしょう。

今回は周期性嘔吐症について質問にお答えしましょう。大人・小児それぞれの症状・原因・他の病気との見分け方も解説しています。

また予防方法もご紹介しているので参考にしてください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

※この記事はMedical DOCにて『「周期性嘔吐症」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

周期性嘔吐症とは?

周期性嘔吐症とは?

周期性嘔吐症とはどんな病気ですか?

  • 周期性嘔吐症とは文字通り周期的に嘔吐を繰り返す病気です。嘔吐だけでなく腹痛や頭痛をともなう場合もあり、主に5歳〜10歳の小児が発症しやすい病気です。
  • アセトン血性嘔吐症・自家中毒とも呼ばれ小児に多い病気ではありますが、大人になって発症する場合もあります。長い期間繰り返す可能性が高く、また症状や原因も個々により違うためそれぞれに対処しながら検査を進めます。
  • 小児の場合は国から小児慢性特定疾患としての医療費助成を受けられるケースもある病気です。大人の場合は発作の前に予兆を感じる方が多く、小児の8割以上が腹痛を訴えるのに比べて大人では約半数と腹痛は特に小児に多い症状といえるでしょう。

周期性嘔吐症の大人・小児それぞれの症状を教えてください。

  • 周期性嘔吐症の症状としては嘔吐・腹痛・下痢・頭痛などさまざまで、ひどくなると意識障害や痙攣を起こすこともあります。
  • 大人・小児ともにほぼ同様の症状が現れますが、大人の場合、よく似た症状のため自律神経失調症と診断されることもあるのです。また大人・小児とも発作期と間欠期に症状が分かれ、間欠期から発作期そして間欠期という一定の周期で発作が起こると考えられます。
  • 間欠期は1期・発作期は2期3期4期と分けられ、1期は無症状・2期予兆・3期発作・4期回復となります。1期から2期3期4期を経てまた1期に戻るのです。このような発作が周期的に起こるのが周期性嘔吐症です。

周期性嘔吐症の大人・小児それぞれの原因は何ですか?

  • 周期性嘔吐症の原因を大人と小児それぞれに分けて解説しましょう。大人の周期性嘔吐症の主な原因は下記になります。
  • 不規則な生活
  • 食事の偏り
  • 過度なストレス
  • チーズ・チョコレート・アレルギー食品の過剰摂取
  • 次に小児の周期性嘔吐症の原因を挙げてみましょう。
  • ケトン体の体内増加
  • 風邪やウイルス
  • 睡眠不足
  • ストレス
  • 環境の変化
  • チーズ・チョコレート・アレルギー食品の過剰摂取
  • 大人と小児、どちらにも共通する原因は睡眠不足などの不規則な生活や特定の食品の過剰摂取です。大人も小児も嫌な思いをしたことがトリガーとなり発症するのではないかといわれています。心因的なトリガーとしては小児の場合は嫌な行事への参加・また発作が起こるのでは…という恐怖感が挙げられます。大人の場合、嫌な仕事へのストレスや不安感がトリガーとなり周期性嘔吐症を発症する原因の1つです。また小児の周期性嘔吐症の原因の1つにケトン体の体内増加があります。ケトン体について解説していきましょう。人の身体は糖をエネルギーに変えて動いています。
  • 何らかの原因で糖が少なくなったとき、ケトンが肝臓で生成され生命を維持します。ケトン体は人の身体にとって必要不可欠なものなのです。ただ代謝が充分でない小児の小さな身体で増え続けることにより、さまざまな症状が起こるのではないかと考えられます。

周期性嘔吐症と他の病気との見分けはつくのでしょうか?

  • 嘔吐や腹痛などの症状は、単発的な症状の場合は周期性嘔吐症ではなく他の病気の可能性があります。その見分け方は難しいですが、周期性嘔吐症の大きな特徴は症状が周期的に現れることです。
  • 周期的ではなくはじめて嘔吐や腹痛が続く場合は、別の病気の可能性も含めて医師の診断を仰いでください。周期性嘔吐症との見分けがつけにくく誤診しやすい病気には下記のようなものがあります。
  • 食中毒
  • 胃腸炎
  • 逆流性食道炎
  • 摂食障害
  • ウイルスによる風邪など
  • 周期的に症状が現れる場合にはそれをしっかりとメモするなどして、周期があることを医師に伝えることが大切です。症状が現れてから解消するまでの日にちや嘔吐の回数などを医師に申し出てください。1回あたりの発作の状況を把握することが診断の目安にもなります。そしてそれぞれの症状への対処もしやすくなるのです。

編集部まとめ

女性
周期性嘔吐症について解説しました。小児だけでなく大人にも発症する病気ですが、診断のつきにくい病気でもあります。

周期性嘔吐症という名前の通り、周期的に症状が現れるのが大きな特徴です。

受診のときにはあらかじめ症状に周期があることを記録しておき、医師にその旨伝えるようにしましょう。

心理的なカウンセリングや認知行動療法を実践することによって、発作頻度や有意症状の軽減緩和につながる可能性が大きいです。心穏やかに、ストレスのない生活を送るようにしてください。

この記事の監修医師

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