「胞状奇胎の予後」はご存じですか?治療したら妊娠できるのかも医師が解説!
更新日:2025/11/17

妊娠は出産にいたるまで奇跡の連続です。 妊娠検査薬で陽性反応が出ても、残念ながら妊娠を継続することができないケースも多数見られるのが現実です。 この記事では胞状奇胎の予後と再発について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
※この記事はメディカルドックにて『「胞状奇胎」になりやすい人の特徴はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)
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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属
目次 -INDEX-
胞状奇胎の予後と再発
治療をすれば妊娠は可能でしょうか?
- 子宮内内容物を取り除く手術の後に医師の指示のもとに定期的な外来通院をし、hCG値が順調に正常の範囲まで下がれば次の妊娠・分娩が可能になります。
- hCG値の下降速度には個人差がありますが、2ヶ月~6ヶ月程度で正常値になるケースが多いです。hCG値が正常値に戻れば次の妊娠に影響はありませんが、必ず主治医の許可が下りてから次の妊娠へと進んでください。
- 一度発症した経験があっても、その後流産や胎児の染色体異常などのリスクが高まることはありませんので安心してください。
胞状奇胎の再発の可能性を教えてください。
- 胞状奇胎は適切に治療することによりほとんどのケースで完治しますが、約1%の確率で再発生する可能性があります。そのため過去に発症したことのある人が再び妊娠した場合は、初期の段階で超音波検査を実施する必要があります。
- 過去に発症した経験のある人が再び妊娠した場合は、前回治療を行った病院を受診すると安心です。
経過観察はいつまで行うのでしょうか?
- 術後の経過観察の目的の一つに、侵入奇胎の発症を発見することが挙げられます。侵入奇胎は術後遅くても6ヶ月以内に発症するので、最低でも6ヶ月の経過観察が必要になります。
- 侵入奇胎や絨毛癌の発症を早期に発見するために、その後も5年くらいの間は3~4ヶ月に一度くらいのペースで定期的に通院しhCG値の測定を受けることが望ましいです。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
- 胞状奇胎は、妊娠初期にきちんと産婦人科を受診していれば早期に見つけることができる病気です。初期の段階では流産との判別が難しいケースもありますが、速めに適切な処置を受けることにより次の妊娠へ早めにステップアップする望みが繋がります。
- 発症しているにもかかわらず放置してしまうと母体が危険な状態にさらされてしまう危険もあるため、月経が遅れたり止まったりしたと感じた場合はすぐに産婦人科を受診するようにしてください。
- 特に月経不順の人は発見が遅れやすいので注意が必要です。日頃から月経の周期や最終月経日を把握しておくようにしましょう。
編集部まとめ
妊娠検査薬が陽性反応を示し喜んだのもつかの間、胞状奇胎の可能性があると告げられたら非常にショックを受けることかと思います。
しかしこの病気には遺伝的な要素は含まれておらず、健康なカップルの間に一定数発症する病気です。
早期に発見し適切な治療を受けることでほとんどが完治し、hCG値が正常に戻れば次の妊娠に影響を与えることもありません。
日頃から月経周期や最終月経日を把握し、月経の遅れや停止が疑われたら速やかに産婦人科を受診するようにしてください。