「反社会性パーソナリティ障害」は何歳から診断される?治療法も医師が解説!
公開日:2025/12/27

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)は、パーソナリティ障害の1つです。他人の痛みに無頓着で、自己の利益だけを追求することを厭いません。
そのため、時には違法行為に及ぶこともあります。また、他のパーソナリティ障害や人格障害を併発する可能性もあります。
しかし、その原因は遺伝的要因だけでなく、親との関係性などの環境要因があることがわかりました。
今回は反社会性パーソナリティ障害(ASPD)の受診の目安や検査法・治療法について詳しく解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「反社会性パーソナリティ障害(ASPD)」の特徴はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
目次 -INDEX-
反社会性パーソナリティ障害(ASPD)の受診と治療方法

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)を疑った際の受診の目安を教えてください。
- 反社会性パーソナリティ障害(ASPD)の診断基準は医師以外から見ると非常に難しいものとなっています。
- 他人の感情にあまりにも無関心すぎる
- 社会的ルールを絶対に守らない
- 人間関係が持続しないが、人間関係を築くことはできる
- 欲望を抑えられない
- 他人を害した際の自身の正当化が著しい
- これらの特徴が顕著な場合は、反社会性パーソナリティ障害(ASPD)の可能性があります。その場合は検査によって調べることが可能です。
どのような検査で調べるのでしょうか?
- 基本的には「精神疾患の診断・統計マニュアル」に基づき検査されます。基本的には以下の兆候が認められる場合に診断されます。
- 法律の軽視行動をしている
- 嘘を繰り返しつく
- 自他問わず安全性を顧みない行動
- 他人を傷つけることに対する無関心や合理化
- これらの傾向が顕著でなおかつ18歳以上の場合は反社会性パーソナリティ障害(ASPD)と診断されます。
- ただし、他のパーソナリティ障害と鑑別する必要もあるため、すぐに検査が終わるわけではありません。
治療方法が知りたいです。
- 反社会性パーソナリティ障害(ASPD)には特定の治療法はありません。あくまで社会に適応するために患者の行動パターンを改善することが目的となります。
- 具体的には心理療法や薬物療法です。
- 心理療法では、同じ障害を持つ人同士で集まり共同作業を行う集団精神療法や、患者本人と家族を含めて行われる家族療法が採られます。
- 薬物療法は主に不安や抑うつ症状を抑えることが目的です。また、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を投与することによって衝動性・攻撃性を抑えることもあります。
治療は長期間行われるのでしょうか?
- 確実に長期間になります。特に遺伝的要因や幼少期からの要因が多いため、周囲のサポートが必要不可欠です。
- 1人では治療が難しい障害でもあります。
編集部まとめ

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)は、完治が難しい障害です。医師だけでなく、家族など周囲のサポートが必要不可欠になります。
ただし、症状の緩和は可能です。治療目標を設定し、臨床心理士と協力しながらの心理療法が一般的です。
もしご家族が診断された場合は、悲観しすぎず辛抱強く接してあげてください。他者とのコミュニケーションによって改善する可能性もあります。
参考文献