目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 【四肢切断の可能性も】「コンパートメント症候群」の後遺症と注意点を医師が解説!

【四肢切断の可能性も】「コンパートメント症候群」の後遺症と注意点を医師が解説!

 公開日:2025/12/20
【四肢切断の可能性も】「コンパートメント症候群」の後遺症と注意点を医師が解説!

骨折をした際には、骨折自体だけではなく後遺症や合併症に気をつけなければいけません。「コンパートメント症候群」もそのひとつです。

コンパートメント症候群は足や腕を骨折、または強い圧迫をした際にみられる障害です。骨折などが由来の障害ですが、血行不良が原因のさまざまな症状が現れます。

放置すると治療不可の状態まで進行してしまうことから、骨折などの外傷を負った場合は気をつけなければいけません。

今回は、コンパートメント症候群の注意点について解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「コンパートメント症候群」とは?症状・原因・治療法も解説!医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

コンパートメント症候群の注意点

車いす

後遺症は残りますか?

  • 処置が間に合わず、筋肉・神経の壊死まで進行してしまった場合は後遺症が残ります。
    下肢の場合は筋力低下や運動時痛が多いです。また、つま先までの感覚がなくなるなどの知覚障害も発生する可能性があります。筋肉壊死によって引き起こされる拘縮によって完全に脚の関節が動かせなくなり、歩行不能となる場合も多いです。前腕であれば「フォルクマン拘縮」が起こり、筋肉が拘縮したまま伸ばせなくなるなどの機能障害をきたします。コンパートメント症候群の後遺症は、壊死した組織の成分が血液中に流出することによる合併症も含まれます。「高カリウム血症」や「横紋筋融解症」もそのひとつです。壊死した組織の成分は、本来血液に多量に含まれる成分ではありません。組織が壊死することで成分が多量に流出すると、尿細管が閉塞し急性腎不全を起こすことがあります。

放置した場合はどのようなリスクがありますか?

  • コンパートメント症候群の症状を放置すると、最悪の場合は四肢切断の可能性があります。これは、高カリウム血症などの合併症により四肢が麻痺することで起こる症状です。合併症が起きても放置していると、最悪の場合死に至ります。

身近な人が発症した場合どのようなサポートをすれば良いですか?

  • まず急性コンパートメント症候群を疑う場合は必ず処置を受けさせてください。放置してしまい処置が間に合わないと根本的な治療は困難です。慢性コンパートメント症候群の場合は、スポーツ応急処置などを行い痛みを和らげてあげましょう。もし腫れや痛みがひどく、なかなか改善しない場合は急性型と同じ様に処置が必要です。経過を見て適切な治療が受けられるようサポートしてください。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • 外傷が原因の急性コンパートメント症候群は、放置すると治療することができません。自分や身近な方が四肢の外傷を負った場合のリスクとして理解しておく必要があります。ただし、発症後数時間以内であれば適切な処置で後遺症を残さずに済みます。もし骨折や挫傷などの外傷を負ってしまった場合は、治療後も数時間は経過を見るようにしましょう。

編集部まとめ

ジョギング
コンパートメント症候群は、筋肉が腫れることによって血流が阻害される障害です。危険な合併症を引き起こす可能性のある障害なので、かなり注意する必要があります。

主な症状は痛みや痺れ、筋肉の著しい腫れです。外傷を負った後にこれらの症状を発症したら、必ず医師の診察を受けるようにしてください。

放置すると知覚障害や拘縮などの障害が残ります。また、感染症や横紋筋融解症などの合併症も併発し、最悪の場合死に至ることもあります。

ただの筋肉の腫れだと放置すると、重篤な障害が残る可能性のある障害です。初期症状が出た場合は、必ず医師の診察を受けるようにしてください。

慢性コンパートメント症候群の場合は、長時間・長距離ランナーに起こる場合があります。この場合はスポーツ応急処置などで対処可能です。

この記事の監修医師

注目記事