「コンパートメント症候群」は見逃すと危険?疑うべき症状と検査法を医師が解説!

骨折をした際には、骨折自体だけではなく後遺症や合併症に気をつけなければいけません。「コンパートメント症候群」もそのひとつです。
コンパートメント症候群は足や腕を骨折、または強い圧迫をした際にみられる障害です。骨折などが由来の障害ですが、血行不良が原因のさまざまな症状が現れます。
放置すると治療不可の状態まで進行してしまうことから、骨折などの外傷を負った場合は気をつけなければいけません。
今回は、コンパートメント症候群の検査と治療方法について解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「コンパートメント症候群」とは?症状・原因・治療法も解説!医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
コンパートメント症候群の検査と治療方法

受診する目安を教えてください。
- コンパートメント症候群で起こる痛みや感覚異常は、通常起こりうるものではありません。外傷を負った後に患部以外の痛みや痺れを感じる場合は受診をしてください。また、コンパートメント症候群は筋肉の腫れなど外表上にも所見が現れます。筋肉が腫れた部分を触ったり伸ばしてみると痛い、しびれるなどの症状がある場合にも受診をするようにしましょう。
どのような検査を行いますか?
- コンパートメント症候群が疑われる場合は、「needle manometer法」という診断方法が使われます。これはコンパートメント内の圧力を測定する診断方法です。コンパートメント症候群を発症していると患部の内圧が異常に上昇するため、この診断方法で確定診断がされます。
治療方法が知りたいです。
- 急性コンパートメント症候群の場合は一刻を争うため、すぐに処置が必要です。この場合は「筋膜切開」が行われます。この切開方法は、該当のコンパートメントの筋膜を切開することで上昇した圧力の逃げ場所を作る処置です。ただし、この処置は血流が途絶えてから6時間から8時間以内に行う必要があります。これ以上経過すると、血流が途絶えた組織が変性し治療ができなくなります。慢性コンパートメント症候群の場合にとられるのは保存治療です。痛み止めやRICE処置と呼ばれるスポーツ外傷の応急処置が一般的です。また、症状が出た原因を探り発症をおさえる方法が考えられます。靴を変えたり走法を変えたりすることでも対応可能です。慢性型の場合も保存治療で改善せず、血流の阻害が収まらない場合は急性型と同じように筋膜切開を行う場合があります。
編集部まとめ

コンパートメント症候群は、筋肉が腫れることによって血流が阻害される障害です。危険な合併症を引き起こす可能性のある障害なので、かなり注意する必要があります。
主な症状は痛みや痺れ、筋肉の著しい腫れです。外傷を負った後にこれらの症状を発症したら、必ず医師の診察を受けるようにしてください。
放置すると知覚障害や拘縮などの障害が残ります。また、感染症や横紋筋融解症などの合併症も併発し、最悪の場合死に至ることもあります。
ただの筋肉の腫れだと放置すると、重篤な障害が残る可能性のある障害です。初期症状が出た場合は、必ず医師の診察を受けるようにしてください。
慢性コンパートメント症候群の場合は、長時間・長距離ランナーに起こる場合があります。この場合はスポーツ応急処置などで対処可能です。